ブルマから読み解く世の中の動き
「ブルマは社会の歴史、特に女性解放の歴史と重なります。
コルセットで束縛され、広いスカートで動きにくい身体を解放し、自由で動きやすい服装としてブルマは考案されました。 しかし、当時の女性は自立しておらず、男性から見て美しくなければならなかったため、ブルマが受け入れられることはありませんでした。
その後、女性も社会進出を果たし、スポーツに参加するようになると、アメリカの学校の体操着として取り入れられ、その頃には、女性も自らが動きやすいことを考えるようになりました。
日本でも、はじめはアメリカ同様受け入れられず、消えていきましたが、袴やスカートよりも動きやすいので、改良され続けていきました。 月日は流れいつしか男子の性的なまなざしの対象となり、誕生した頃とは異なる女性開放の立場で消えていったのです」(掛水さん)
ブルマの発展、そして消滅には、女性が自分の意見を言えるようになった歴史が密接に絡んでいたのだ。
アメリカで誕生し、日本に伝来したブルマは独自の進化を遂げ、やがて消滅した。 ブルマに限らず、ファッションは世相を反映することが多い。 ファッションの変化に目を向け、世の中の動きを改めて捉えてみると、意外な発見があり、面白いかもしれない。
なお「教えて!goo」では、「ブルマを採用している学校はもう日本にはない?」ブルマを採用している学校はもう日本にはない?という質問とその回答も紹介中だ。
●資料提供者プロフィール:掛水通子
東京女子体育大学教授・東京女子体育大学女子体育研究所所長・日本スポーツとジェンダー学会会長・体育史学会監事など多岐に渡る活動で知られている。
著書に『ブルマーの社会史 女子体育へのまなざし』(高橋一郎・萩原美代子・谷口雅子・掛水通子・角田聡美共著。青弓社) 他。