いわゆる「マザコン」とは別に、男性の中には、母性の象徴でもある女性の胸に対して格別の思い入れを持つ人も少なくないが、そうしたある種の“胸フェチ”男性の欲望を満たすためとしか思えない奇習が、かつてこの国には存在していたという。
「そうでしょうね、たしかによその地域の人からすれば、おかしな風習に思われるかもわかりません。でも、このあたりじゃ、昔は当たり前のこととして、行われていたものなのですよ」
四国地方のとある海辺の地域で今なお暮らす川島実さん(仮名・82)は、自身が生まれ育ったこの地方特有の習慣について、次のように証言する。
「女の人に子どもができるでしょう? そうすると、お乳が出るようになるでしょう。それをね、村の男衆がみんな、わざわざ出向いていって、飲むんです」
ことさら指摘するまでもなく、女性の母乳というものは、その赤子のためにあるものだ。それを男性に、しかも家族ではない、近隣の人々が飲むというのは、なんとも奇妙な話。しかも、その乳房に赤子のように口をつけて吸うようにして飲むというから驚くばかりだ。
「そりゃあ、そうですよ。もちろん、みんな口をつけて吸いますよ。みんなで代わる代わるその家を訪ねていっちゃ、そのうちの嫁さんのお乳を吸う。今にして思えば、たしかにおかしな風習ですよねえ(苦笑)」
川島さんの話によると、その行為は女性の母乳が出なくなるまで続けられ、結果、どこの家の女性たちも、子どもができると村全体の男性たちから母乳を吸われ続けていたという。
「もともとはね、栄養のあるお乳を飲むことで、男たちの精がつくとか、時々吸い出すことで、胸が張るのを防ぐんだとか、そんな目的で始まったとかって聞いていますけどもね、本当のところはどうなんでしょうね」
川島さんの話によると、こうした風習があるせいで、当地の女性たちは母乳の味を評価され、旨い母乳を出し続ける女性の場合は、母乳が出なくなってからも、手厚く扱われていたというが、その由来もどこか怪しげなニオイがするだけに、なんとも気になるところだ。
(取材・文/戸叶和男)
http://tocana.jp/2017/07/post_13714_entry.html
四国のどこだ 移住する
現実は怖いんだよ。