DQN『ウェ~イ!』パッ
男「DQN!」
DQN『見てるぅ~? 今お前の彼女と一緒にいま~す!』
女『うう……』
男「な、なんで!? おい、なんでお前が彼女と一緒にいんだよ!」
男「くそっ、こっちの声は届かない仕組みか!」
DQN『今からお前の彼女と一緒にお前の誕生日プレゼントを買いに行きま~す!』
男「なんだって!?」
DQN『なんだこりゃ?』
女『ジャングルの奥地に暮らすというドドンガ族のお面! きっと彼に似合うよ!』
男「いらねえ! なんだよそれ!」
DQN『いや……あいつこういうの喜ぶキャラか?』
女『うん、絶対喜ぶ!』
DQN『もっと別なのにした方がいいと思うぜ』
女『そう? じゃあ他のにしようかな』
男「よくやった……!」
続きはよ
女『ゲーム!』
女『あ、そっか。ゲームを買えばいいのか!』
DQN『といってもあいつが既に持ってるのを買っても意味ねえからなぁ』
男「流行りの作品はだいたい買ってるしなぁ」
女『じゃあこれどう? ゲーム理論の本!』
DQN『いや……ゲーム理論ってTVゲームと関係ないし、やめといた方がいい』
男「ナイス!」
女『もういっそ現金でよくない?』
男「え」
DQN『いやさすがに恋人への誕生日プレゼントが現金てのは……』
女『だけど、一番手っ取り早いじゃん』
DQN『なんかさ、あいつ悩みなかったりしねえの? なんでもいいから!』
女『う~ん、座ってゲームするから、お尻が痛くなるなんていってた』
DQN『それだよ!』
男「あ、これいい! これ超欲しい!」
女『えー……これだったらドドンガ族のお面のがよくない?』
男「ドドンガいらない! クッション欲しい!」
DQN『ここはクッションにしようぜ、な?』
女『ま、いっか。うん、分かった。そうする』
女「今日誕生日だよね。おめでと~!」
男「覚えててくれたんだ」
女「はいこれ! 誕生日プレゼント! ……≪お尻やわらかクッション≫!」サッ
男「嬉しいよ! ありがとう!」
男(ありがとう……DQN)
男「また端末が置かれてる」
DQN『ウェ~イ!』パッ
男「DQN!」
DQN『見てるぅ~? 今お前の彼女と一緒にいま~す!』
女『うう……』
男「またかよ!」
DQN『今日はお前の彼女と一緒に……お前へのバレンタインチョコを用意しま~す!』
男「今度はチョコか!」
DQN『チロルチョコ!? 彼氏へのチョコだぞ!?』
女『だってこういうのって気持ちが大事でしょ?』
DQN『そうだけど……さすがにチロルはどうよ?』
男「うんうん」
女『じゃあ、こっちの高いの。ゴディバ』
DQN『うーん……どうせなら手作りチョコに挑戦してみねえか?』
女『私、作ったことないんだけど』
DQN『俺も協力するから……挑戦してみようぜ!』
女『分かった、やってみる!』
男「よくやったぞ、DQN!」
女『うん!』メラメラ…
DQN『ちょっ!?』
DQN『おいおい、チョコを直接火で炙るやつがあるかよ!』
男「やってTRYに出てくる女でもやらねーよ!」
女『え、ダメ?』
DQN『チョコを溶かす時は湯煎するんだよ。まずチョコを砕いて……』
DQN『お湯の入った鍋に、ボールに入れたチョコを浸けて、ゆっくりと……』
女『へぇ~、DQN君手際いいね』
男「ハラハラするなぁ……」
DQN『よし、こいつを型に入れて固めようぜ!』
男「いいぞいいぞ」
女『型は……ドクロにしよう!』
DQN『え、なんで!? 普通にハートでよくね!?』
女『だって、こっちのがかっこいいし! ロックって感じで!』
DQN『バレンタインデーにロックさは必要かなぁ』
男「DQN、なんとかハートに説得してくれえ……!」
女『やだ、絶対ドクロ!』
DQN『うーん……じゃあ2パターン作ろう! ハートチョコとドクロチョコ!』
女『あ、それいい! ポケモンみたい!』
DQN『だろ?』
男「苦労をかけるなぁ……」
女「渡したいものがあるの」
男「ん?」
女「はいっ、バレンタインデーのチョコ! 今年は手作りしてみたの!」
男「おおっ、ありがとう!」
女「二枚も作ったんだよ」
男(本当に2バージョンある……ドクロとハート)
男「この端末は……まさか!」
DQN『ウェ~イ!』パッ
男「やっぱり!」
DQN『見てるぅ~? 今お前の彼女と一緒にいま~す!』
女『うう……』
DQN『今からお前の彼女と一緒にドライブに行きま~す!』
男「まさか……今度こそ寝取る気か!?」
男「えっ!」
DQN『だからまず、俺が助手席でアドバイスしてやることにしたんだ』
女『私、頑張る!』
男「ひええ……死ぬなよ、DQN……」
女『う、うん』グッ
ブロロロロッ!
DQN『ちょっ、アクセル踏みすぎ! 少しずつ踏もうぜ、少しずつ!』
女『難しいなぁ……』
男「俺に事故の決定的瞬間を目撃させないでくれよ……」
女『ええーい!』
DQN『30km/h道路で50km/hは出し過ぎ! スピード緩めて! ちゃんとメーター見て!』
男「おいおいおい、スピード狂かよ」
女『左折左折』グイッ
DQN『車は内輪差あるから、ちゃんと目視して曲がって! 歩行者巻き込んじゃうよ!』
男「俺だったら恐怖でアドバイスなんかできんわ……」
DQN『あ、横断歩道でおばあちゃんが待ってる! 止まってあげて!』
女『うん』キキッ
後続車『いちいち止まってんじゃねーぞ!』パーパーッ
女『わっ、煽ってくる!』
DQN『任せとけ』
DQN『あぁん!?』ギロッ
後続車『ひいっ!』
男「流石にこういう時は頼もしいな……」
DQN『駐車はぶつけないように……』
女『うん』
DQN『よし完璧! やればできるじゃねーか!』
女『これで彼をドライブに連れていけるよ!』
男(自然と手が拍手してしまう)パチパチパチ
女「どう? 私の運転、なかなかのもんでしょ」
男「うん、ペーパードライバーだったのに大したもんだ」
女「私って才能あるのかも!」
男(これもDQNのおかげだ……)
男「あ、これは……」
DQN『ウェ~イ!』パッ
男「だよな」
DQN『見てるぅ~? 今お前の彼女と一緒にいま~す!』
女『うう……』
DQN『今からお前の彼女と一緒に夜景の見えるレストランに行きま~す!』
男「どうぞどうぞ」
女『どれから使えばいいのか分かんない!』
DQN『ナイフとフォークは外側から使うのが基本だ』
女『そうなんだ。いただきまーす』
DQN『うん、その調子だ』
男「DQNはテーブルマナーにも精通してるのか……」
DQN『スープは音を立てないように』
女『この水もおいしい!』ゴクゴク
DQN『フィンガーボールは飲んじゃダメだ!』
男「ホントお疲れ様です」
男「奮発したからね」
女「マナーは勉強したから、こういう料理も平気!」モグモグ
男「ところで……話があるんだ」
女「なに?」
男「結婚しよう」
女「!」
男「まだ君のお父さんは俺のことを認めてくれてないけど……きっと分かってくれるさ」
女「うん……ありがとう!」
男(ムード台無しにならなかったのはDQNのおかげだ……ありがとう)
司会者「それでは披露宴を始めさせて頂きます」
パチパチパチパチパチ…
男「……」
女「……」
男「結局、君のお父さんは来てくれなかったね……」
女「うん……」
司会者「ここでご友人からのビデオをご紹介します」
男「? なんだろ?」
男「DQN!」
DQN『見てるぅ~? 今お前の彼女のお父さんと一緒にいま~す!』
父『うう……』
女「お父さん!?」
男「どういう状況だよ!」
DQN『待ってろ……今すぐこの人を説得して、結婚式に行かせてみせるぜ!』
男「DQN……!」
父『な、なんだね』
DQN『どうして娘さんの結婚式に行かねえんだ』
父『それは……私があの二人の交際を認めてないからだ』
DQN『なぜ認めねえ?』
父『あんな青二才に、娘を幸せにできるとは思えん!』
DQN『どうしてそう言い切れる!?』
DQN『あいつらは本気で愛し合ってる! 絶対幸せになれる!』
父『むう……』
DQN『だけど、結婚式っていう娘の晴れ舞台、送り出すあんたがいなきゃ二人とも幸せになれねえ!』
DQN『二人を不幸にしようとしてるのは……他ならぬあんたなんじゃねえのか!?』
父『う、ぐ……』
DQN『頼む……披露宴に向かってくれえ!!!』
父『分かった……向かおう』
DQN『決まりだな! バイクに乗ってくれ! 安全運転で飛ばすぜぇ!』
男「……!」
女「お父さん……DQN君……!」
男(ありがとう……DQN!)
父「二人とも……結婚おめでとう!」
女「お父さん……」
男「ありがとうございます!(DQNもな)」
…………
……
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