サルでの試験が成功したことで、医学で長年変化がなかった男性避妊分野に、大きなブレークスルーが近づいていそうなのだ。
女性向けの避妊法は、ホルモンを主成分とした錠剤や注射から、ペッサリー、避妊リング、膣内リングに至るまで、多くの選択肢があり普及している。
一方、男性側の選択肢が事実上ふたつしかない要因はふたつある。
まず、生物学的な要因だ。毎日何百万個もの精子の産生を止めるより、約1カ月に1回、ひとつの卵細胞が卵管にたどり着かないようにするほうが簡単だ。
もうひとつの要因は単純に、男性向け避妊医薬品の開発分野には、それほど多くの資金助成がないのだ。
昨年11月の記事で紹介したように、世界保健機関(WHO)は、効果が見込めた男性向けのホルモン注射試験に資金を提供してきた。しかし、深刻な副作用があり、試験は中止された。
同様の薬剤は、中国の男性1045人で試験され、避妊効果と可逆性(投与を中断すれば再びパートナーを妊娠させられること)が確認されたが、開発元企業のジェジャン・シャンジュ(浙江仙琚)製薬が男性用避妊薬を市販することはなかった。
他にも、さまざまな錠剤が世界中で開発中だが、まだ薬局で販売された製品はない。
非営利団体のパーセマス財団が開発したベイサルジェルは、精子が睾丸の外に出ないように、精管(精子を運ぶ管のことで、パイプカット手術で切断され、焼灼される)内に注入するポリマーゲル(ジェル)だ。
今のところ、ベイサルジェルは何種類かの動物で試されている。論文誌ベーシック・アンド・クリニカル・アンドロロジーで発表された最新の試験結果によれば、アカゲザルのオス16頭にジェルを注入し、メスと共に暮らす生活に戻した。その後2年間の観察で、妊娠は観察されなかった。副作用は、本来とは異なる場所にジェルを誤注入してしまい、パイプカットが必要になった事例があっただけだ。
ベイサルジェルで避妊できることが判明し、今度は可逆性も証明されようとしている。インドで試験中の類似手法「RISUG」の可逆性はすでに示されているが、ヒトでの試験に十分な志願者を集められずにいる。ベイサルジェルの試験は、妊娠を抑止に効果があることは示しているが、今後は大型動物での試験で、避妊の中断がパイプカット処置より簡単であると示す必要がある。
https://www.technologyreview.jp/s/24622/male-birth-control-gel-inches-toward-a-breakthrough/
皮剥かずに装着w