「ファイターズを出されるなら辞めます」
米アリゾナでの韓国NC戦でも2回、打者6人をパーフェクトに抑えており、これで5イニング連続無安打投球となった。
とはいえ、誰が見ても崖っぷちのプロ9年目。この日の最速は137キロにとどまった。
現実を見据え、自分の身の丈に合った投球術に生き残りをかけようとしている。(片岡将)
“春の珍事”で終わらせるわけにいかない。「毎年この時期は比較的抑えられているので…。
結果が出たとはいえ、楽天打線がまだ試合に慣れていないのもある」。
文句の付けようのない結果にも、浮かれたところはみじんもなかった。
立ち上がりは昨季新人王の田中和、島内、西武からFA移籍の浅村を3人で退け、2回にはさらに“進化”を示した。
先頭の新外国人ブラッシュ(前エンゼルス)は内角をツーシームで攻めながら四球で歩かせたが、続くウィーラーに対してもひるまず内を突き、最後は外角スライダーで遊直。
銀次にも内角を存分に意識させた後、カウント2-2から、
外角のボールゾーンからストライクに飛び込む“バックドア”のスライダーを打たせて、遊ゴロ併殺打でこの回を切り抜けた。
銀次は「ちょうど打ちたくなるコースに、予想していなかったボールが来た。スピードはないけど、変化量が大きい。 これまでにはなかった攻めだと思います」と面食らった様子。
「使えるボールになっている」と斎藤自身がうなずいたバックドアは、
オフから練習を積み重ねてきた秘密兵器だったが、出し惜しみせず遮二無二結果を求めた。
バックドアを効果的に使う上で前提となるのが、打者に厳しい内角球を見せておくこと。
随所で執拗な内角攻めをみせ、「僕みたいな投手はインコースを使って、ストライクゾーンを広く使わないといけない」と意を決している。
続く3回も三者凡退で終え、平日にも関わらず2000人のファンが詰めかけたスタンドには歓声と指笛が響いた。
「“これが自分の生き方だ”という道を見つけたのかもしれない」と評したのは、ネット裏で視察したロッテ・山下徳人編成調査担当。
「右打者の内角をシュート系の球で丁寧に突き、最後は外のスライダー系。
左打者に対しても同様に内外角をワイドに使っていた。攻め方が多彩になっている。効果的なコンビネーションですね」と警戒を強めた。
一方、まだ調整段階とはいえ、この日の最速は137キロと寂しい数字。
他球団のスコアラーからは「あのスピードでは、2月はよくても、シーズンに入れば1軍では通用しないよ」と冷ややかな声も上がっていた。
昨季は1軍登板3試合で勝ち星なしに終わり、通算15勝24敗。
年俸は3年目の2013年の3500万円をピークに年々減り続け、今季はとうとう1600万円。
1年目の1500万円とほぼ同額で“振り出しに戻った”格好だ(金額はいずれも推定)。
ここ数年右腕にはトレードの噂が絶えないが、球団は交換要員に斎藤を要求されるたびに拒否。
斎藤自身も親しい関係者に「ファイターズを出されるなら辞めます」と明かし、不退転の決意で日本ハムで結果を出すことにこだわっている。
そんな中、昨年まで球速や球威を追い求めていた姿は影をひそめた。
内外角を丁寧に攻める制球力とコンビネーションを生命線に、打者の打ち気とタイミングを外す投球術に、現実と向き合い泥臭く結果を求める姿勢が見える。
栗山英樹監督(57)は「覚悟してしっかり投げてくれているし、気持ちは伝わってきている。
必死になって結果を出しているが、これを続けるしかない。いいスタートを切ったけど、勝負するのはウチの投手陣とだから…」
と実戦で好結果を出していくことでしか先発、リリーフを問わずポジションを獲得できないとした。
栗山監督はすでに、3月29日の開幕戦(対オリックス=札幌ドーム)の先発に25歳の上沢直之、同30日の第2戦先発に移籍1年目の金子弌大(ちひろ、35)を指名。
昨季リーグ2位のチーム防御率3・77をマークした日本ハム投手陣は充実度を増し、昨季0勝の斎藤が付け入るのは容易でない。
かつての“ハンカチ王子”がなりふり構わずサバイバルに全てをかける姿には、これまでとひと味違った趣がある。
http://news.livedoor.com/article/detail/16060271/
2019年2月22日 17時10分 ZAKZAK(夕刊フジ)
辞めても安心だな
大学なんて女遊びと箔つけに行ったんだから教員免許は取ってないよ