女児の思春期早発と関連する可能性があることが、米カリフォルニア大学バークレー校のKim Harley氏らによる研究で明らかになった。
特に問題となるのは、フタル酸エステル類、パラベン類、フェノール類に属する化学物質。
一方、男児ではこれらの関連は認められないことも分かった。
研究の詳細は「Human Reproduction」2018年12月4日オンライン版に掲載された。
フタル酸エステル類やパラベン類、フェノール類などの化学物質には、内分泌撹乱性など人体への悪影響が懸念されている。
これまで動物実験で、これらの化学物質は特定の条件下で女性ホルモン(エストロゲン)に似た作用を示し、
これらの曝露により思春期が始まるタイミングが乱れることも示唆されている。
Harley氏らは今回、カリフォルニア州サリナス・バレーに居住する妊婦とその子どもを対象とした縦断コホート研究のデータを分析した。
研究では、1999~2000年に登録した妊婦を対象に、妊娠中に2回の血液検査と問診を行い、問題とされる化学物質の血中濃度などを測定した。
また、生まれた子ども338人(男児159人、女児179人)が9歳になった時点で尿検体を採取し、9歳から13歳まで追跡して思春期が始まったタイミングを評価した。
その結果、妊娠中の母親から採取した尿検体の約90%に、これら3種類のうちいずれかに属する化学物質が認められた。
また、2016年に米食品医薬品局(FDA)が使用を禁止した殺菌剤のトリクロサンについては、尿検体の約70%で陽性であることが分かった。
解析の結果、妊娠中の母親のフタル酸エステル類の血中濃度が2倍になると、女児の陰毛が生え始める時期が標準よりも1.3カ月早まっていた。
また、妊娠中のトリクロサンの血中濃度が2倍になると、女児の初経は1カ月早まることも明らかになった。
さらに、9歳時点の女児のパラベンの血中濃度が2倍になると乳房の発達と陰毛が生え始める時期が1カ月早まっていた。
一方、男児ではこれらの関連は認められなかった。
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