1990年代の車は徳大寺有恒によく叩かれていたよな？ [194767121]

　スープラのようなクルマは日本からは未来永劫できないと思っていた。

　いや、スープラのような精緻なメカニズムの2WDや可変スポイラーのような進歩的なメカニズムで、黒沢元治（編集部註：「ガンさん」のニックネームで知られた自動車評論家・元レーシングドライバー）が驚くようなクルマは早晩できると思っていた。

　スープラのようなハイスピードとハイスピードコーナリングを可能にすることはやるだろうと予想していたが、そのうえに“これこそスープラの疾りだ”といえるものを作り出せるとは思わなかった。

　甘いものなら、気持ちの悪くなるほど甘くなる。辛いカレーも死ぬほどのものができる。しかし、甘いうちにうまさがあり、辛いうちに甘味さのようなうまさがある料理は難しい。

　こいつは量産からは生まれ得ないものと、なかばあきらめていた。

　しかし、トヨタのスタッフはそれに挑戦し、ほとんど完全なるカタチで出してきたのである。

　スープラは作り手の強烈なメッセージを感じる。このようなクルマは、かつての日本車にはあり得なかったのだ。

（中略）

　私は自分の記憶によれば、国産車では初めて“名車”なる言葉を使ってもいいと思っている。

　名車、ちょっと照れくさい表現だ。しかし、すべてのトヨタ車を含めたうえで、スープラは機能だけで語れないものがある。それこそ名車の条件じゃないかと思う。

（中略）

　車両価格445万円は相当高い。フェアレディZより高いのだが、その理由は“乗ってみればわかる”。もっと“自分のものにしてみればさらにわかる”と思う。むしろ、このプライスは安すぎるという意見が出たとしても、私は不思議に思わない。

（中略）

　私は少なくとも3、4年はこれに匹敵するクルマは出現しまいと思う。これほどの機能を実現することも大いに難しいが、その機能に“心”を入れ得ていることにただただ感心しているのだ。（1989年10月10日号）

と何度言っても無視された
あきらめて

「ハイ、メルセデス」
と言ったら一発で認識してくれた

徳大寺さんがご存命だったらどうしただろう