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matome 速報

勇者「俺はかつて死神と呼ばれた勇者」→→→

投稿日:


1: 2020/07/22(水) 21:28:03.444 ID:LObC9Z6x0.net
兵「おい、お前。王様がお呼だ。出ろ」

男「あん? 王が俺になんの用だ?」

兵「知るか。いいからさっさと出ろ」

男「おいおい、俺みたいなやつと王を会わせちまっていいのかよ?」

兵「貴様は黙ってついてくればいいのだ」

男「へいへい。まっ、なんにせよこんな小汚ねえところ出れるなら俺からすれば万々歳だからな」

兵「黙れというのが聞こえんのか!」

男「そうカリカリすんなよ。カルシウム足りてる? 肉ばっか食ってないで小魚も食えよ」

兵「いいから黙らんか!」

男「やれやれ、どうしてこうお堅いかね。わーったわーった。黙ってるからトイレ行かせてくれよ」」

兵「ならん! いいからキリキリ動け!」

男「だったらこの足枷外してくれよ。歩きづらくて敵わんわ」

兵「それはならん!」

男「難しい注文ばっかりしやがって」

3: 2020/07/22(水) 21:29:27.637 ID:kYKYFvCq0.net
期待
支援

4: 2020/07/22(水) 21:29:46.997 ID:LObC9Z6x0.net
兵「王様。連れて参りました」

王「うむ。ご苦労。下がって良いぞ」

兵「お、お言葉ですが王様。他には誰もいないとなるといささか危険では」

王「聞こえなかったのか。下がれと言ったのだ」

兵「は、はっ! 失礼いたします!」

男「おいおい、いいのかよ下げて。俺と二人きりは危険だぜ?」

王「何、大臣の手中に居るやつと二人きりのほうがよっぽど危険だ」

男「ははっ、違いない。寝首と尻穴には気をつけな」

王「うむ、忠告感謝する」

男「で、俺に一体何の用だ? まさか俺の尻穴の方が危険か?」

王「生憎そんな趣味はなくてな。すまんな」

男「おっと、それは残念だ」

6: 2020/07/22(水) 21:30:04.545 ID:P6G2AL9v0.net
世界を救ってもらう勇者(推定)なのに
兵士の態度が悪いな

7: 2020/07/22(水) 21:30:57.503 ID:n9NcT4qr0.net
支援

8: 2020/07/22(水) 21:31:34.332 ID:LObC9Z6x0.net
王「さて、本題に入る前に1つ聞きたいのだが、男よ。魔王が復活したことは知っておるか?」

男「おお、久しぶりに名前で呼んでもらえた。涙が止まらないぜ」

王「うむ、名前は一生物だからな。大切にした方が良いぞ」

男「両親に感謝しなくちゃな。それで、魔王だっけか? あー知ってる知ってる。兵士たちがビクビクしてたからな」

王「やれやれ、所詮作り物の兵士なぞそんなものか。自分で始末してやるくらいの度胸はないものか」

男「で、その魔王の件と俺を呼び出したのになんの因果関係があるんだ?」

王「何簡単な話だ。その魔王討伐を貴様に頼みたいのだ」

男「おいおい、何だ? じゃあ俺は今日から勇者様か?」

王「いかにも」

男「いいのかよ、そんな名誉な称号を俺に与えて? 批判の嵐だったんじゃねえのか?」

王「うむ。賛成者など一人も居らんかったからな」

男「そりゃそうだろうよ。流石俺もお前の頭を疑っちまったぜ」

王「何心配ない。病院に連れて行かれたが脳波も異常がなかったからの」

男「そりゃ健康でなによりだ」

9: 2020/07/22(水) 21:31:34.677 ID:F0vizUhG0.net
小粋なジョークを飛ばすキャラを描きたいのは伝わってくるけどただのうっとおしいお喋りにしかなってないな

11: 2020/07/22(水) 21:33:28.584 ID:LObC9Z6x0.net
王「で、結局どうなのだ。受けてくれるのか」

男「そりゃあんな豚箱にいるくらいなら受けるけどよ。一応俺を選んだ理由を聞かせてくれ」

王「うむ。まず初めにその手腕だ。うちの兵士100人集まっても貴様を倒せはしないだろう」

男「大丈夫かよ国の兵隊さんよ」

王「それほどお主が強いということだ」

男「ははっ、ありがたき幸せ」

王「次に両者に対するメリットだ」

男「ほう・・・それはなんだ?」

王「そちら側とすれば牢屋からの釈放、無事戻ってくれば免罪としよう」

男「ふむ・・・だがそれだと俺が戻ってこない可能性がないか?」

王「もし帰ってこれれば一生遊んで暮らせるだけの報酬を支払おう」

男「ほぉ・・・。なるほどな。ま、旅の途中で俺が死ねば極悪人が死ぬわけだしあんたらが困ることはないということか」

王「その通りだ」

男「随分と俺にメリットが多いな。でもまっ、そんだけ簡単なもんじゃないってことか」

王「そういうことだ」

13: 2020/07/22(水) 21:35:10.136 ID:LObC9Z6x0.net
男「なるほどなるほど。ま、俺からしたらメリットしかないからいいんだけどよ」

王「ということは引き受けてくれるということでいいのだな」

男「だがわからんな。何故そこまでして俺に拘る? それこそ一人の俺より兵士1000人とかにした方がいいんじゃねえか?」

王「これは最後の理由だが、私はお前を個人的に好いておる」

男「やっぱりホモじゃねえか」

王「そういう意味ではない。馬鹿者」

男「馬鹿って言う方が馬鹿なんだぞ」

王「小学生か貴様は。兎に角私はお前しかいないと思っておる」

男「あんなことしたやつによくそんなことが言えるな」

王「理由があったのであろう。お前がそんなことをするような男には私は思えん」

男「やれやれ、政治は出来ても人を見る目はなさそうだな。眼科をおすすめするぜ」

王「お主の鼻毛までしっかりと見えておるから安心せい」

男「仕方ねえだろ、あんな所にずっと入れられてたら手入れする暇もねえよ」

王「それもそうじゃな。それと嘘じゃ」

14: 2020/07/22(水) 21:37:05.524 ID:LObC9Z6x0.net
王「では頼むぞ」

男「ちょっと待てよ。俺一人で行くのか?」

王「そりゃそうじゃろ。誰が好き好んでお主と一緒に行きたがるのだ」

男「ごもっともだ」

王「もし仲間が欲しいのなら自分で探すのだな」

男「おいおい、シャイボーイの俺にどうしろっていうんだよ」

王「そんだけ喋れて何を言っておるのじゃ」

男「あれだ、内弁慶ってやつだ」

王「わかったわかった。はよいけ」

男「つれねえな、おい。人と喋ったの久々なんだからもう少し喋らせろよ」

王「その勢いで誰か見つけるが良い。ほれ、下がれ」

男「はいはい、わかったよ。じゃあな、王様よ。もう会うことはないかもしれんがな」

王「また会えることを願っておるぞ」

男「けっ、よく言うぜ」

15: 2020/07/22(水) 21:38:14.781 ID:LObC9Z6x0.net
数日後

勇者「さて、久々に外に出たわけだが・・・」

ザワザワ…

勇者(ま、そりゃ歓迎されねえわな)

勇者(とりあえずさっさとこの街を出るか)

勇者(薬草も防具もないけど仕方ないか・・・)

勇者(ってまあ金ねえしどっちにしろ買えねえのか)

勇者(前途多難だな、全く)

勇者(こんなに歓迎されない旅立ちの日歴代あったのかねぇ)

勇者(まあねえだろうな)

勇者(しかし足枷外してもらっただけでこんなに動きやすかったんだな)

勇者(久々すぎて忘れてたわ)

勇者(・・・はあ、煙草吸いてえ。ため息と一緒に煙を吐きてえぜ)

16: 2020/07/22(水) 21:39:06.705 ID:1huxy0jG0.net
久しぶりの勇者ssスレ昔は結構有ったのにな
支援

17: 2020/07/22(水) 21:39:44.591 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「やっと着いたか。遠すぎだろ、まじで。もう夜じゃねえかよ」

勇者「やだやだ、ブタ箱に閉じ込められてたせいか体がなまっちまったかな」

勇者「さっさと本調子に戻さんとな」

勇者「さて、とりあえず必要なもんでも買うとするか」

___
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勇者「おい、親父。いいの入ってるかい?」

薬屋「あん? 一体だれ・・・ってその紋章は勇者様!?」

勇者「おう、俺が勇者だ。もっと崇めろ」

薬屋「これはこれはとんだご無礼を! おや? どこかで見たことあるような・・・」

勇者「ほら、それは、あれだ。勇者だからだろ、うん。そんなことより何あんだよ!」

18: 2020/07/22(水) 21:41:18.417 ID:LObC9Z6x0.net
薬屋「あ、これは大変失礼しました。こちらになります」

勇者「ふ~ん・・・。おっ」

薬屋「何かお気に召されたものがありましたか?」

勇者「ピースをカートンで。あとライター」

薬屋「・・・え?」

勇者「いや、ほら、俺勇者じゃん? 平和願ってるじゃん? だから必要。はい、頂戴」

薬屋「あ、はい、こちらです・・・」

勇者「はいよ、サンキュ。じゃな」

薬屋「え、あの、薬草とかは・・・」

勇者「勇者が薬草に頼るにゃこの町は早すぎる。じゃな」

薬屋「ありがとうございました」

19: 2020/07/22(水) 21:43:04.718 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「・・・ふー。いやあ、生き返るな。やっぱ煙草はいいなあ。肺が煙で満たされるこの感覚、たまらないね・・・」

勇者「さて、とりあえず宿屋にでも行くか・・・。あぁ、美味かった。ごちそうさん」ポイッ

??「こーらー!!」

勇者「あん?」

魔法使い「そこのあなた! ポイ捨てはいけません!」

勇者「おー今時こんな偉い子がいるのか、感心感心」

魔法使い「え? えへへー、そうですか? 私偉い子ですか?」

勇者「ああ、かなりな、尊敬したわ。まじすげー。マッドリスペクトだわ」

魔法使い「そ、そんな~、照れちゃいますよ」エヘヘ

勇者「おう、その純粋誠実な心を忘れるなよ。じゃあな」

魔法使い「はーい、お気を付けて」

魔法使い「って、ちっがああああああああう!!」

勇者「おぉ、ナイスノリツッコミ」パチパチ

20: 2020/07/22(水) 21:44:28.211 ID:kYKYFvCq0.net
めっちゃ長くなりそうだな
でも面白いから最後まで見るぞ

21: 2020/07/22(水) 21:45:25.311 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「あなた、いい加減に・・・って、え、あなた勇者様なんですか!?」

勇者「おう、そうだぞ。この紋章が目に入らぬか」

魔法使い「だったらなおさらですよ!! なんでポイ捨てなんかするんですか!!」

勇者「いいか、ガキ。これには海より谷よりも俺の懐よりも深ーい理由があるんだよ」

魔法使い「急に浅くなりましたね」

勇者「うるせえ黙って聞け。いいか、世の中には掃除屋がいるだろ?ところが街が綺麗だったらどうする?」

魔法使い「掃除しなくて良くなりますね」

勇者「その通りだ」

魔法使い「だったらいい事ばっかりじゃないですか」

勇者「アホ。いいか、ちゃんと考えてみろ。ということはだ、もともと掃除屋だった人はどうなる?」

魔法使い「それは・・・あっ」

勇者「そう、職を失うよな? ということは失業者が溢れるだろ? そしたら世の中はどうなる?」

魔法使い「ほ、滅びる・・・!!」

勇者「随分飛躍したな、おい」

22: 2020/07/22(水) 21:46:47.776 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「あーまあ、つまりそういうことだ。見えてるもん、聞いたもんが全てじゃねえんだよ。こうやって俺は世界の平和を守っているというわけだ」

魔法使い「なるほど・・・。確かに・・・。流石勇者様・・・。民の事をしっかり考えて・・・!」

勇者「そうだろそうだろ。俺の行動が理解して貰えて嬉しいよ」

魔法使い「うがあああああああああ!!」

勇者「なんちゅう声出してるんだよ」

魔法使い「いやそれ普通に詭弁じゃないですか!! これはお仕置きを受けてもらうしかありません!!」

勇者「お前が何をできるんだよ」

魔法使い「私は魔法使いです!! 魔法が使えるんです!!」

勇者「おぉ、それはすごいなー」

魔法使い「そうです!! だから覚悟してください!!」ビシッ

勇者「武器を向けたな」

魔法使い「・・・・・・え?」

24: 2020/07/22(水) 21:48:50.596 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「死ぬ覚悟は出来てるんだろうな」

魔法使い「え?」

勇者「死ぬ覚悟は出来てんのかって聞いてんだよ」ギラッ

魔法使い「ひ、ひいっ」ガクガク

勇者「人に武器を向けてるってことはよ、殺す覚悟と死ぬ覚悟があるってことなんだよなぁ!」

魔法使い「ご、ごめんなさい!!」ガクガク

勇者「・・・ったく。そう簡単にエモノを人に向けるんじゃねえよ」

魔法使い「ごめんなさい!! ごめんなさい!!」ガクガク

勇者「あー、良い良い。俺も大人気なかったよ。悪かったな」

魔法使い「えっぐ・・・、えっぐ・・・」

勇者「卵卵うるせえよ。はぁ」ヒョイ

魔法使い「あっ」グスッ

勇者「まっ、自分の思ったことをしっかり言えるのはいいことだ。そういうのは嫌いじゃねえよ。じゃあな、クソガキ」

魔法使い「・・・・・・こ、怖かったぁ」

魔法使い(・・・ていうか私なんであんなに怒られたんだろう)グスン

25: 2020/07/22(水) 21:52:06.808 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「・・・・・・はぁ」

魔法使い(どうしてこう全て上手くいかないんでしょうね・・・)

魔法使い(私のしたことは間違ってるのでしょうか・・・)

魔法使い(見てみないふりして、賢く生きたほうがいいのでしょうか・・・)

勇者「なんだクソガキ。どんだけ落ち込んでんだか」

魔法使い「ひっ!?」

勇者「ビビリすぎだっつの。悪かったって言ってんじゃん」

魔法使い「悪かったで済めば警察なんてっ・・・いえ、なんでもないです」

勇者「はぁ・・・もう怒んねえって。だから普通にしろ」

魔法使い「・・・ホントに怒んないですか?」

勇者「俺が嘘つくような男に見えるか?」

魔法使い「見えます」

勇者「素直でよろしい」

26: 2020/07/22(水) 21:54:19.645 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「それで勇者様はどうしたんですか?」

勇者「これから酒場に行くところだ」

魔法使い「・・・ホントにあなた勇者様ですか? やってることがゴロツキと変わりませんよ」

勇者「まあだろうな。どうだ? お前も行くか?」

魔法使い「私が飲めるような歳に見えますか?」

勇者「見えんな」

魔法使い「そういうことです」

勇者「まあいいからついてこいよ。ガキらしくジュースでも飲んでろ。奢ってやるから」

魔法使い「え、いいんですか?」

勇者「さっきのお詫びだ」

魔法使い「やったー!! さすが勇者様です!! やっぱりいい人だったんですね!!」

勇者(チョロ)

27: 2020/07/22(水) 21:55:50.311 ID:LObC9Z6x0.net
カランカラーン

勇者「よう、マスター。やってるかい?」

マスター「ん? あぁ、やってるよ。好きなとこ座んな」

勇者「あいよ。ほら、ガキも座んな」

魔法使い「むぅ。さっきからガキガキって。私は魔法使いっていう立派な名前があるんです!!」

勇者「ああ、悪かったな。ガキの使い」

魔法使い「なんか違います!!」

勇者「いいからさっさと座れよ。マスター、とりあえず生とミルクで」

マスター「おうよ」

魔法使い「本当に勇者様のイメージとはかけ離れてますね」

勇者「お前は勇者に幻想を抱きすぎなんだよ。勇者だって一人の人間なんだ。好きにさせてくれよ」

魔法使い「まあその通りですけど・・・。それでもあなたは酷すぎですよ。人格を疑うレベルです」

勇者「うるせえよ。そういうお前だって魔法使いの割に馬鹿じゃねえか」

魔法使い「私のどこが馬鹿なんですか!! むきー!!」

勇者「そういう所だ、馬鹿」

28: 2020/07/22(水) 21:58:09.849 ID:LObC9Z6x0.net
マスター「あいよ、生とミルクお待ち」

勇者「おっ、来た来た」

魔法使い「あ、ありがとうございます」

勇者「じゃ、とりあえず乾杯といこうか」

魔法使い「はあ、まあいいですけど」

勇者「じゃっ、かんぱーい」チンッ

魔法使い「かんぱーい」チンッ

勇者「ゴクッ・・・ゴクッ・・・ぷはーっ、旨えな」

魔法使い「オヤジ臭いですよ」

勇者「馬鹿、これが正しい飲み方なんだよ。お前もチビチビ飲んでないでグビッといけよ」

魔法使い「そんな勢いで飲んだらお腹痛くしちゃいますよ」

勇者「本当に子供だな、お前は」

魔法使い「うるさいですよ。子供は子供らしくしてるんですよ」チビチビ

勇者「ちげーねえ」

29: 2020/07/22(水) 22:00:03.762 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「ところで勇者様はお一人で旅をしてるんですか?」

勇者「逆に問うが俺についてきたいと思う奴がいると思うか?」

魔法使い「・・・すいません」

勇者「謝んな、アホ。俺が惨めじゃねえか」

魔法使い「それにしたってあまりにも軽装すぎません? 防具何もつけてないじゃないですか」

勇者「煙草代と宿代と飲み代で買う金なくなった」

魔法使い「何やってるんですか・・・。私に奢ってる場合じゃないですよ・・・」

勇者「いいんだよ、俺は。防具なんかなくたってどうにかなる」

魔法使い「冒険を舐めすぎじゃないですか? ていうか武器はどうしたんですか? 見当たりませんけど」

勇者「いいか、ガキ使」

魔法使い「略さないでください」

勇者「逆においそれと武器をひけらかしてる奴はアホだ。相手に自分の情報を与えてどうすんだよ」

魔法使い「あぁ・・・なるほど。それは一理ありますね」

勇者「自分の得物はケムにまくのさ。煙草だけにな」

魔法使い「本当になんなんですか、あなたは」

30: 2020/07/22(水) 22:02:05.863 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「幻滅したか?」

魔法使い「はい、かなり」

勇者「だろうな。世の中はそんなに綺麗じゃねえってこった。善人ばかりじゃねえんだよ、この世界はな」

魔法使い「・・・でも勇者様悲しそうな顔してます」

勇者「あん? 俺がか?」

魔法使い「はい。うまく言えませんが・・・無理矢理笑ってるように見えます」

勇者「あぁ、これは愛想笑い。お前との話が面白くねえからだな」

魔法使い「な、なんですか!! 人が心配してあげてるのに!!」

勇者「大きなお世話だアホ。ガキはガキらしく素直に生きてろ」

魔法使い「もう!! 心配して損しました!! ふんっ」

31: 2020/07/22(水) 22:04:19.124 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「怒りっぽいやつだな。カルシウム不足じゃねえか? いいんだぞ、どんどんミルク頼んで」シュボッ

魔法使い「あなたの財布の中身を空にしてあげましょうか? ていうか煙草臭いです」

勇者「そんくらい我慢しろ。奢ってやってるんだから」

魔法使い「まあそこは本当に感謝してますけど・・・体に悪いですよ?」

勇者「いいんだよ、俺の体だから。どうなったって俺の責任だろうが」

魔法使い「まあそうですけど・・・」

勇者「マスター、ビール追加」

マスター「あいよー」

魔法使い「・・・もう」

「おい、テメーふざけんじゃねえよ!!」

勇者「お、なんか始まったぞ」

魔法使い「え?」

32: 2020/07/22(水) 22:05:53.879 ID:LObC9Z6x0.net
男1「あン? んだコラ!! 元はといえばテメーが悪いんだろうがよ!!」

男2「うるせえ!! お前のせいで妻には逃げられ、莫大な借金も抱えるハメになったんだ!!」

男1「んなもん知るかよ!! そんなのこの国の王でも言えよ!! 俺は何もしてねえだろうが!!」

男2「うるせえ!! 今日こそぶっ殺す!!」

魔法使い「あわわわ、ゆ、勇者様大変ですよ!!」

マスター「はあ・・・。またか」

勇者「あん? またってどういうこった?」

マスター「ああ、ここ最近ずっとこんな調子だよ。何かあれば喧嘩喧嘩で・・・」

勇者「そういや宿屋のオヤジもなんか言ってたな」

魔法使い「何冷静に語ってるんですか!! 止めなくていいんですか!?」

33: 2020/07/22(水) 22:06:31.287 ID:iSpUCn970.net
懐かしいなこれ
結構面白かった覚えがある

34: 2020/07/22(水) 22:09:56.685 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「つったて部外者の俺が何言ったって無駄だろ。余計なことに首突っ込んで首飛ばしたくねえもん。」

魔法使い「・・・もう!! 見損ないました!! 私が止めてきます!!」ダッ

勇者「あ、おい!!」

マスター「正義感が強すぎるのも困ったもんだな」

勇者「はあ・・・。あのバカが」

マスター「いいのか、助けに行かなくて?」

勇者「赤の他人だ。助ける義理はねえ」

マスター「冷たい男だな」

勇者「あー、そういえば・・・さっきまで飲んだ酒とミルク、払うだけの金もねえな」

マスター「・・・ったく、あんたも素直じゃないね。じゃあお代はあの連中の喧嘩の仲裁で建替るってことでどうだい?」

勇者「よっしゃ!! 約束忘れるんじゃねえぞ!!」

マスター「はいはい、男に二言はねえよ」

35: 2020/07/22(水) 22:11:00.636 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「やめてください!! 他のお客様に迷惑です!!」

男2「あ~ん? なんだクソガキ!! 関係ないやつは引っ込んでろ!!」

魔法使い「あなたのせいで迷惑してるんです!! 今すぐやめてください!!」

男2「うるせえ!! ぶっ殺すぞガキが!!」シャキン

魔法使い「ひっ!!」

男2「一人殺すのも二人殺すのも変わらねえ・・・。テメエからぶっ殺してやる!!」

魔法使い「あ、あ」

魔法使い(あ、死んだ)

魔法使い(やっぱり力のない私なんかがでしゃばるんじゃなかったな・・・)

36: 2020/07/22(水) 22:12:28.227 ID:LObC9Z6x0.net
キンッ!!

男2「・・・あン?」

魔法使い「・・・あれ、生きてる?」

勇者「だから言ったろ、余計な事すんなって」

魔法使い「勇者様!!」

男2「テメエ・・・なんのマネだ」

勇者「いや、ここのマスターに頼まれたのよ、アンタらを止めてくれってな」

魔法使い「勇者様・・・・・・」

勇者「助かったんだから喜べよ」

男2「ふざけやがって・・・お前もぶっ殺・・・って、お、お前まさか・・・」

勇者「どうも勇者でーす」

男2「嘘つくんじゃねえ!! お前、あの極悪人、ジョン・ホールバスターだろ!!」

男1「なっ!!」

魔法使い「・・・・・・・・・・・・え?」

37: 2020/07/22(水) 22:14:43.465 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「おう、なんだ俺のこと知ってんのか。俺も有名になったもんだな」

男1「な、なんでお前・・・捕まったんじゃねえのかよ・・・」

勇者「あ? あんなザル警備ちょちょいと突破してきたわ」

男2「死神が・・・死神が復活した・・・」

勇者「今は勇者だっての」

魔法使い「え、え、何なんですか?」

男1「お前知らねえのかよ!! こいつは一人で味方の小隊5000人を殺害した死神だぞ!!」

魔法使い「・・・え?」

勇者「あら、お詳しい。サインでもやろうか?」

男2「ふ、ふざけんな!! なんでそんなお前が勇者の紋章をつけてんだよ!!」

勇者「あ~、パクってきた」

男2「・・・は?」

勇者「だからー、脱獄して見張りぶち殺してきて兵ぶちころして王様ぶち殺して勇者ぶち殺して奪ってきた」

男2「なっ、なっ・・・」

男1「ば、化物・・・」

38: 2020/07/22(水) 22:16:30.680 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「いやあ、お前すげえよ。この死神に武器を向けたんだからよ」

男2「あ、いや、それは・・・」

勇者「・・・死ぬ覚悟は出来てるんだろうな」

男2「ひいっ!!」

勇者「死ぬ覚悟は出来てんのかって聞いてんだよ!!」ギラッ

男2「ひ、ひいっ」ガクガク

勇者「人に武器を向けてたってことはよ、殺す覚悟と死ぬ覚悟があるってことなんだよねぇ!!」

男2「す、すいませんでした!!」ガクガク

勇者「だったらさっさとここから失せろ!! テメーらもだ!! ここに居るやつ片っ端からぶっ殺すぞ!!」

男2「は、はい!!」ダッ

「うわあああああ殺される!!」「逃げろおおおお!!」「まだ死にたくねええええ!!」

ガラーン

勇者「・・・ったく。騒がしいやつらだ」

魔法使い「・・・あっ、あっ」

勇者「こいつはこいつでまたビビってるし」

39: 2020/07/22(水) 22:18:24.904 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「・・・あなた、そんな人だったんですか」

勇者「ああ、そうだよ。何となくわかるだろ? 馬鹿だからわかんなかったか?」

魔法使い「・・・最低です。そんな人だとは思いませんでした。本当に見損ないました」

勇者「そりゃお前の主観だろ? お前の主観だけで勝手に見損なわれたくねえよ」

魔法使い「バカっ!! この死神!!」ダッ

カランカラーン

勇者「やれやれ。何なんだよ、一体」

マスター「まさかお前さんがあの男だったとはな・・・」

勇者「なんだ、あんたも知ってたのか」

マスター「そりゃ今の世界でお前さんを知らないやつの方が少ないだろうさ」

勇者「ああ、そうかい。ったく、死神にとっちゃ住みにくい世の中だぜ。悪いな、邪魔したな」

マスター「なんだ、もう帰るのか?」

勇者「俺が居たら客入らねえだろ? 」

マスター「おいおい、お前さんが居なくなったら俺一人になっちまうだろ。寂しい思いさせるんじゃねえよ」

勇者「・・・あんたは俺が恐ろしくねえのかよ?」

40: 2020/07/22(水) 22:22:21.501 ID:LObC9Z6x0.net
マスター「何言ってやがる。お前がどこの誰だろうと俺にとっちゃお客様だ。神様だ。それが死神だったとしてもな」

勇者「・・・ははっ。あんた変わってんな」

マスター「よく言われるよ。でもあんたにゃ言われたくねえよ。脱獄したって話し、嘘だろ?」

マスター「その紋章は王に認められなきゃつけれないだろうが」

勇者「あら、お詳しいことで」

マスター「何年生きてると思ってんだ。お前の様なひよっ子とは違うんだよ」

勇者「ふーん、とりあえずビール一丁」

マスター「誤魔化しやがって。まあいいけどよ。でもいいのか、そんなに頼んで?」

勇者「さっきまでのはタダになったんだろ?」

マスター「さっき居なくなったやつらは誰も金払ってねえ。その分は誰が払うと思ってるんだ?」

勇者「・・・流石だな、おっさんよ」

マスター「何年生きてると思ってるんだ」

41: 2020/07/22(水) 22:24:48.898 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「はぁ・・・。余計なことしたぜ・・・。ったく」

マスター「だがまあ、ちょっと依頼を聞いてくれりゃお前さんの今日の支払い全て、ただにしてやってもいいぞ」

勇者「何? それは本当か?」

マスター「ああ。男に二言はねえ」

勇者「まあ聞くだけ聞いてやる。言ってみ」

マスター「今この国は王の独裁政治だ。そのせいで俺らの生活が苦しめられてる」

勇者「ふーん。そういえば街を歩いて時に聞いたな。米がどうたらこうたら言ってたな。自分で取れたところの何%かを納めなくちゃならないのか?」

マスター「ああ。そんなところだ。商店は儲けの何%かだな」

勇者「ちなみに何%なんだ?」

マスター「40%だな」

勇者「おうおう、UUUMもビックリだな。そんなもん生活出来ねえだろ。よくここに飲みに来れたもんだな、他の奴らは」

マスター「皆ツケばっかだよ。困ったもんだ」

勇者「それはそれはご愁傷様」

42: 2020/07/22(水) 22:25:42.918 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「で、俺はどこまですればいいんだ? 税撤廃か? パーセンテージを下げりゃいいのか?」

マスター「そうだな、今までは10%だったからな。そこまで下げてくれたらお釣りが出るレベルだ」

勇者「なるほどな。うっし、わかった。ちょっくら行ってくるわ」ガタッ

マスター「おいおい、今から行くのか?」

勇者「善は急げ、思い立ったが吉日ってあるだろ? んなもんさっさと片付けた方がいいだろ」

マスター「全く、あんたの行動力には参ったよ」

勇者「おお、勇者様を崇めろ。そして俺が死んだらお参りにはこいよ」

マスター「死んだ時には蹴りをお見舞いしに行くよ」

勇者「今から死に行くのに酷い男だよ、あんたは」

マスター「死神が何言ってんだ。ま、精々気をつけな」

勇者「あいよ。帰ったら美味い酒用意しとけよ」

マスター「ミルクも必要か?」

勇者「ああ、腹下すぐらいたっぷりな」

43: 2020/07/22(水) 22:27:41.447 ID:LObC9Z6x0.net
カランカラーン

魔法使い「あ、あの~」

マスター「ん? あぁ、さっきの嬢ちゃんか」

魔法使い「は、はい。さきほどは勝手に帰ってしまって申し訳ありませんでした」ペコッ

マスター「別に気にしちゃいねえよ。んで、どうしたんだ?」

魔法使い「あ、勇者様ってまだ居ますか?」

マスター「あー、あいつか。あいつなら今頃城に向かってるんじゃねえか? この国の税のこと話したら今から行ってくるってよ」

魔法使い「えっ」

魔法使い(なんだ。なんだかんだ言ってやっぱりいい人じゃないですか)

魔法使い「ありがとうございます!! 私も今から行ってきます!!」ダッ

マスター「あ、おい!!」

カランカラーン

マスター(・・・まあ酒代ただの話は言わなくていいか)

マスター(俺は酒とミルクの準備でもしとくか)

44: 2020/07/22(水) 22:29:16.015 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「はー。でけえ城だな、おい。うちの国の倍はあるんじゃねえか?」

勇者「さて、どっから入るかな。正面から堂々と入るわけにもいか・・・」ピクッ

勇者「誰だ!!」チャキッ

魔法使い「ひ、ひいっ!!」ビクッ

魔法使い(え、え、なんで気づいたんですか!?)

勇者「・・・・・・なんだよ、お前かよ。良い子はもう寝る時間だぞ。さっさと寝ろ。だから身長伸びねえんだぞ」

魔法使い「お、大きなお世話です!!」

勇者「アホ、うるせえよ。大きな声出すんじゃねえよ」

魔法使い「あ、すいません」オクチチャック

勇者「・・・んで、なんでお前がここにいるんだよ? まさかここに住んでるとかいうわけじゃねえだろ?」

魔法使い「そ、それは酒屋のマスターに勇者様がここに居るって聞いて・・・」

勇者「はぁ・・・。あのなぁ、なんであんな飛び出してまで出ていったお前がわざわざ俺に会いに来るんだよ」

魔法使い「そ、それは・・・」

勇者「あぁ、まあいいや。それよりお前。折角俺に会いに来てくれたのは嬉しいが帰れ」

魔法使い「え?」

45: 2020/07/22(水) 22:30:55.232 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「え、じゃねえよ馬鹿。俺はこれから危険なことをするの。また大罪を犯しに行くの。わかる?」

魔法使い「で、でもそれは私たちの為に・・・」

勇者「いいから聞け。俺はこの先人を殺す。間違いなくな」

魔法使い「・・・・・・」

勇者「そこにお前が居たら? お前が人を殺そうが殺すまいお前も罪人だ」

勇者「こっから先は遊びじゃねえ。ガキが出る幕じゃねえ。とっとと帰んな」

魔法使い「・・・嫌です」

勇者「あ?」

魔法使い「ガキはガキらしく素直に生きるんです!! 自分のやりたいことをするんです!! 駄々をこねるんです!!」

魔法使い「馬鹿だから難しいことなんてわかりません!! あなたが悪い人か良い人かもわかりません!! だから!!」

魔法使い「あなたの戦ってる姿が見たいんです!! この目で見て何が真実かを確かめたいんです!! だからついていきます!!」

勇者「・・・・・・」

魔法使い(うう・・・。お、怒らせてしまったでしょうか・・・)

勇者「・・・・・・おい」

魔法使い「は、はいっ!!」

46: 2020/07/22(水) 22:34:33.327 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「お前には殺す覚悟と死ぬ覚悟があるのか」

魔法使い「・・・・・・」

魔法使い「はい!!」ガクガク

勇者「膝震えてんぞ」

魔法使い「こ、これは武者震いってやつです」

勇者「はあ・・・。本当にいいんだな。後悔すんじゃねえぞ」

魔法使い「ぐ、愚問です!!」

勇者「わかったよ。なんでそこまでして着いてくるかはわからんがな」

魔法使い「だからそれは」

勇者「ああ、いい、喋るな。んじゃさっさと行くぞ」

魔法使い「あぁ、心の準備が!!」

勇者「はぁ・・・。おい、ガキ使。ちょっと手を出せ」

魔法使い「え、え、ちょ、何してるんですか/// なんで手を握って///」

勇者「舌噛むなよ」

魔法使い「えっ?」ヒュン

47: 2020/07/22(水) 22:35:45.548 ID:+xco8WOD0.net
何とか最後まで行ってくれ

48: 2020/07/22(水) 22:36:14.580 ID:LObC9Z6x0.net
ヒュン

勇者「はーい、敵の本拠地に到着でーす」

兵1「だ、誰だ!!」

兵2「い、一体どこから!?」

魔法使い「はあ!? ちょっと、一体・・・おえええ」

勇者「ああ、慣れるまできついかもな、これ」

魔法使い「そういうのは最初に・・・おえええ」

勇者「とりあえず暫く黙ってろよ。少しすれば治るから」

魔法使い「うぅ・・・はい・・・うっぷ」

兵2「お前はどこから入ってきたのだ!!」

勇者「移動呪文は勇者の特権だろ?」

兵2「何!? 貴様が勇者だと!?」

勇者「はっは、見ろよこの紋章。カッケーだろ」

49: 2020/07/22(水) 22:36:41.024 ID:fZoPdBi60.net
みてるぞ

50: 2020/07/22(水) 22:38:43.550 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「善良な一市民の方から納税パーセンテージの引き下げのクエストを受けたんだよ」

兵2「部外者がこの国の方針に文句を付けるでない!!」

勇者「いやあ、そういう訳にもいかないんだよね。反故すると酒代を払うために何やらされるかわかんねえしよ」

兵1「ほう、随分と貧乏な勇者も居たもんだな。哀れなものだ」

勇者「心配してくれてありがとよ」

兵1「減らず口を・・・。まあいい。いくら勇者と言えども不法侵入には変わりない。罪人としてここで叩き切る!!」チャキ

兵2「覚悟しろ!!」チャキ

勇者「おうおう、随分立派な両手剣だこと。ロングソードか」

兵1「そういう貴様は武器が見当たらないようだが」

兵2「防具も何もつけていないようだし・・・手ぶらで来るとは余程死にたいらしいな」

勇者「俺にはこれさえあれば十分なんだよ」サッ

兵1「ふっ、随分短いナイフだな」

魔法使い「え、見せちゃうんですか!? さっきは・・・うっぷ」

勇者「だから無理して喋るなっての。いいんだよ、今回は見せても」

51: 2020/07/22(水) 22:39:44.750 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「それでお前ら。この俺に武器を向けてるってことは、殺す覚悟と死ぬ覚悟があるんだな?」

兵1「何を当たり前なことを!!」ダッ

兵2「まあ死ぬのは・・・貴様の方だがな!!」ダッ

魔法使い「き、来ましたよ勇者様!!」

勇者「おお。酔が覚めたか。そりゃ良かった」

魔法使い「言ってる場合ですか!! 相手はロングソードなんですから攻撃範囲に入られたら・・・!!」

勇者「って相手も思ってるだろうな」

魔法使い「え?」

勇者「まあ見てろよ。一瞬たりとも目を離すんじゃねえぞ。さて・・・」

勇者「死神のご加護がありますように」

52: 2020/07/22(水) 22:44:01.045 ID:LObC9Z6x0.net
兵2「ぐわあああああああああああああああああああ!! 足がああああああ!! 足がああああああああ!!」

兵1「がっ!? ぐっ、あ、あ、足がああああああああああああああああああ!!」

勇者「あっけないもんだな」ヒュン

ズバッ

魔法使い「あ、あ、あ」

勇者「どうだぁ? 足首がプラプラしてる感じはぁ? 歩けねえだろぉ? そうだよなぁ、動いたらもげちまうもんなぁ? 痛いだろぉ? そりゃそうだ、血が出てるからなぁ? なあ、今どんな気持ちだぁ? 苦しいかぁ? 痛いかぁ?」

兵2「がああああああああいてええええええ!!」

兵1「あああああああああああああああああああああああ!!」

勇者「ギャハハハハハハ!! いいねぇ!! もっと苦しめよ!! もっと泣き叫べよ!! 俺をもっと楽しませてくれよ!!」

兵2「ふ、ふざけんなあああああああああああああああああああああああ!!」ブンッ

勇者「おっと、危ねえな」ヒョイ

勇者「何だぁ? お痛をするのはその手かぁ? そんな悪い手にはお仕置きしなきゃなぁ?」スパッ

53: 2020/07/22(水) 22:46:00.370 ID:LObC9Z6x0.net
カラン ポトポトポトポト

兵2「あ、あ、あ、指がない、俺の指が、小指が親指が、あああああああああああああああああああああああああああああああああ」

勇者「ついでにお前も」スパッ

カラン ポトポトポトポト

兵1「やめろおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああ」

勇者「いいねぇ、最っ高だねぇ!! もっと泣き叫べよ!! 喚き散らせよ!! ギャハハハハハハ!!」

兵1「あっ、あっ、命だけは、命だけは」ガタガタガタガタ

勇者「・・・・・・はあ、飽きた。もういいや。おい、お前」グイッ

勇者「けっ、何が殺す覚悟も死ぬ覚悟もあるだ。口だけのゴミクズ野郎が」

兵1「すみませんでしたすみませんでしたすみませんでしたすみませんでした」

勇者「ちっ。ウゼェ。おい、いいからさっさと王の居場所を教えろ。そしたら命だけは見逃してやる」

兵1「言います言います!! そこの通路を右に曲がって突き当たりを左、あとは真っ直ぐです!! だから命だけはあああああ!!」

54: 2020/07/22(水) 22:50:02.869 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「あっそ。じゃあな。いい夢見ろよ」ドスッ

兵1「あ・・・」パタッ

兵2「あ、あ、あ、あ、あ」パタッ

勇者「ふう・・・。場所もわかったしさっさと行くか。おい、ガキ使。行くぞ」

魔法使い「」

勇者「立ったまま気絶してやがる・・・。ホントお前は何しに来たんだよ・・・」 ゲシゲシ

魔法使い「え? あ、痛い、痛いです!! 脛を蹴らないでください!!」

勇者「ほら行くぞ。あんまり人が集まっても困るしよ」

魔法使い「・・・・・・殺しちゃったんですか、この人達」

勇者「だったらどうする?」

魔法使い「・・・・・・今は前進あるのみです」

勇者「わかってんならキリキリ動け。死んだやつのことなんか考えても仕方ねえだろ」

魔法使い「・・・ええ。行きましょう」

55: 2020/07/22(水) 22:52:03.457 ID:LObC9Z6x0.net
国王「何? 侵入者を許しただと?」

兵長「申し訳ございません」

国王「謝罪などいらん! いいからさっさと始末してくれ!」

兵長「はっ。今全勢力をあげて対処しております」

国王「そうかそうか。ならば解決は時間の問題か」

兵長「だと思われます」

国王「なら良い」

バタンッ

国王「・・・・・・行ったか。な、なあ? これでいいのだろ? そうすれば儂を殺したりしないか?」

「ああ。これでいいんだよ。テメエは俺様の言うとおりに動いていればいいんだよ」

国王「じゃ、じゃがな? 流石に40%はあまりにも可愛そうじゃないか? そちらも大変なのはわかるが・・・」

「ああ? 俺様に口答えするっていうのか?」

国王「そそそそんな、滅相もない」

「だったらテメエは何も考えなくていいんだ。俺様に全て任せればいいんだよ」

国王「・・・はい」

56: 2020/07/22(水) 22:54:04.213 ID:LObC9Z6x0.net
ジュッ

勇者「・・・はぁ。うめえ。なんでこんなに美味いんだ。いや、ありえねえ。吸わねえやつの気持ちがわからねえ」

魔法使い「そうですか」

勇者「あん? 随分湿気た顔してんな。どうした? まだ悩んでんのかお前は。いいんだぞ、帰っても。今なら間に合うぞ」

魔法使い「い、いえ、そんなつもりじゃないんです!! ・・・ただあのなんというか」

勇者「まっ、所詮おこちゃまだからな。血が怖いんだもんな」

魔法使い「・・・ま、まぁ」

勇者「慣れだ慣れ。そのうち慣れる。自分の股の血だって見慣れたろ?」

魔法使い「・・・ホント最低ですね」

勇者「ククッ、よく言われるよ」

57: 2020/07/22(水) 22:55:25.419 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「ていうかよ、お前本当に魔法使いなんだよな?」

魔法使い「なんですか今更」

勇者「いや、本当にお前が魔法使えるか気になったからよ。魔法使いっていうんだからそりゃ相当な呪文が使えるんだろ?」

魔法使い「・・・・・・火術だけしか使えないんです」

勇者「・・・そうか。じゃあな。達者でな」

魔法使い「お、置いてかないで下さいよ!! 私も役に立つかもしれないじゃないですか!!」

勇者「血を見て気を失ってるやつのどこが役に立つんだよ」

魔法使い「うぐっ・・・」

勇者「もうわかったろ? 俺が噂通りの男だってことをよ。おめでとうございます。お前のクエストは達成です」パチパチ

魔法使い「・・・いえ、それは違うと思います」

勇者「あ?」

58: 2020/07/22(水) 22:56:53.301 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「私がそこまで馬鹿だと思っているんですか。勇者様」

勇者「いや、たぶんお前の予想以上にお前のことを馬鹿だと思っていると思うぞ」

魔法使い「うるさいです!! 話を聞いてください!!」

勇者「わかったわかった。じゃあお前の名推理を聞かせてくれ」

魔法使い「ではなんで勇者様は毎回足から攻撃をするんですか?」

勇者「そんなもん身動きを取らせなくするためだろ。戦いの定石じゃねえか」

魔法使い「ええ。私は剣を扱わないのでわからないのですが多分そうなんでしょう」

勇者「だったらなんの問題もないじゃねえか。はい、推理終了」

魔法使い「・・・ですがそれは普通の戦闘の場合ですよね?」

勇者「あん? 何が言いてえんだ?」

魔法使い「簡単なことですよ。勇者様は移動魔法が使えるんですよ。なら最初から背後に回って心臓を一突きすれば終わりじゃないですか」

勇者「・・・ほぉ」

59: 2020/07/22(水) 22:59:28.268 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「はっ、教えてやるよ。俺は快楽犯なんだよ。相手の痛がってる姿を見るのが最ッ高に気持ちよくてね」

魔法使い「・・・・・・」

勇者「最初のやつらの命乞いとか見たか? 命だけは命だけはってよ。俺はゾクゾクしたね」

魔法使い「・・・・・・」

勇者「だから俺は最初に聞いたのにな。死ぬ覚悟はあんのかって。なのに結局は命乞いだ。アホなやつだよ、本当に」

魔法使い「・・・・・・もうやめてください」

勇者「おっと、悪いな。ガキにはきつい話だったか」

魔法使い「・・・・・・どうしてそんなに自分を悪く見せようとするんですか」

勇者「・・・・・・」

60: 2020/07/22(水) 23:01:34.392 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「自分に嘘をついてどうするんですか!! 辛くないんですか!? もっと素直に・・・ガキらしく生きればいいじゃないですか!!」

勇者「おいおい、いい歳の大人に何言ってるんだよ」

魔法使い「勇者様!! はぐらかさないでください!!」

勇者「俺の勝手だろうが。俺に生き方を強要すんじゃねえよ」

魔法使い「勇者様・・・」

「ここに居たか・・・」

勇者「おっと。首を長くして待ってたぞ」

兵長「驚いた・・・。まさかうちの兵を全滅させるとはな」

勇者「お前が来るのが遅いせいで退屈な話しに付き合わされたじゃねえか。どう責任とってくれるんだよ」

兵長「責任は取れないが・・・代わりにその長くなった首、刈り取ってくれる」

勇者「怖い怖い。勘弁して欲しいな」

兵長「無理な相談だな」

61: 2020/07/22(水) 23:03:22.739 ID:aZRw5Zsca.net
小隊五千人?五十人の間違いかな

62: 2020/07/22(水) 23:06:21.603 ID:LObC9Z6x0.net
兵長「さあ死ぬがいい!!」ダッダッダ

勇者(兵長っていうから期待したのに残念だぜ。コイツも雑兵と変わんねえな)

勇者(拳を振り上げてきたか。ならばここで移動魔法っと)ヒュン

勇者(そして、背後に回って斬って・・・なっ!!)

勇者(何故遥か前に!?)

兵長「かかったな。お前がその様な戦い方をするのは調査済みなんだよ!!」ダッダッダ

勇者(まずい!! そっちの方向は!!)

勇者「馬鹿!! 逃げろ!!」

魔法使い「え、え?」

兵長「一体その小娘になんの意味があるかわからんが・・・まずは一人目を確実に始末する!!」

63: 2020/07/22(水) 23:07:00.536 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「あっ、あっ」

魔法使い(魔法を唱えなきゃ・・・!! 早く唱えなきゃ・・・!!)

魔法使い「か、火じゅ」

兵長「遅い!!」サッ

魔法使い(あ・・・間に合わない)

魔法使い(本当に・・・勇者様と会ってからイイ事ないな・・・何度も死にかけるし・・・無駄に頭使うし・・・)

魔法使い(はぁ・・・偉そうなことばかり言っちゃいましたね)

魔法使い(生意気なガキでごめんなさい・・・死神って言ったこと謝れなくてごめんなさい・・・勇者様)

魔法使い(そしてごめんなさい・・・お父さんお母さん)

ヒュン ザクッ!!

勇者「このアホが」

兵長「」ブシャー

魔法使い「ゆうしゃ・・・さま・・・?」ビチャビチャ

64: 2020/07/22(水) 23:10:09.664 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「はぁ・・・返り血浴びちまったじゃねえか。服の替え持ってねえんだぞ、どうしてくれるんだよ」

魔法使い「・・・殺しちゃったんですか?」

勇者「だから言ったろ。俺はただの死神だ。それ以上でもそれ以下でもねえんだよ」

魔法使い「で、ですが今のは」

勇者「俺が怪我を最低限にしてるって。お前、そう言ったよな?  そんなこと言われたからムシャクシャして殺した。そんだけだ」

魔法使い「でもあれは私を守るために・・・!!」

勇者「いいか、よく聞け? 俺の移動魔法は自分以外のものも移動させることが出来るんだぞ? ここに来るとき、俺はお前をどうした?」

魔法使い「・・・・・・あ」

勇者「そういうこった。生憎だがお前の名推理、いや、迷推理は見事にハズレだ」

魔法使い「そんな」

勇者「いい加減帰れよ? 今なら誰も居ねえぞ? ゆっくり歩いたって無事に帰れるはずだ」

魔法使い「・・・・・・私は最初に言いました。最後までついていきます」

勇者「・・・ったく、どうなっても知らねえぞ」

65: 2020/07/22(水) 23:12:38.549 ID:LObC9Z6x0.net
ギィ・・・

勇者「どうもー、お邪魔しまーす」

国王「な、なっ、もう来たというのか!! ええい、兵長は一体何をしているのだ!!」

勇者「ん? ああ、これのことか」ゴトッ

国王「ひ、ひぃ!!」

勇者「いやあここに来るまであまりにも暇でつい球蹴りしながらきちまったぜ。だーれもいやしねえんだもん」シュボッ

国王「そ、そんな・・・。ざっと100人は居たはずだが・・・」

勇者「こいつを含め112人だな」ゲシッ

国王「ば、化物め・・・」ガクブル

勇者「こいつは馬鹿者だけどな」

魔法使い「・・・・・・」

勇者「・・・はぁ、無反応かよ。つまんねえな。まあいいけどよ。そんなことよりここまで着いたんだ。特典として俺のお願いを聞いてくれないでございますか?」

国王「な、な、ならん!!」

勇者「まあ・・・聞かないなら死神としての役割を果たすだけだがな」チャキッ

国王「ひ、ひいいいいいい!!」

66: 2020/07/22(水) 23:15:32.259 ID:LObC9Z6x0.net
「させねえよ」

ブンッ

勇者「おっと」ヒュン

「ちっ、これを避けるか。ここにたどり着いただけあるな」

魔法使い「ま、魔物!?」

勇者「おいおい、いきなりご挨拶じゃないか。まずは名前、年齢、好きな女のタイプを言えよ」

「テメエに教える名前なんてねえよ」

勇者「お前名前ねえのかよ。愛されてこなかったんだな、可哀想に。俺にはあるぜ」

国王「まさかキサマは!!」

勇者「もう説明は省くぞ。どうせアンタの予想通りだろうし」

「ふん、どこの誰だろうが関係ねえ。俺様が葬ってやるよ!!」

勇者「やれやれ、よく喋る魔物だ。もう名乗んねえなら俺が名前を決めてやる。お前なんかトカゲみたいだからトカゲでいいや」

「ふざけんな!! 俺様にはちゃんとリザードって名前があんだよ!!」

勇者「だったら最初から名乗れよ。もったいぶりやがって」

67: 2020/07/22(水) 23:18:17.565 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「俺のナイフを喰らいな・・・っておいおい、まじかよ」ヒュン

リザード「俺様の皮膚は並みの金属は通さねえよ。ましてやそんな小せえ小刀じゃな」ブンッ

勇者「こりゃやっかいだな」ヒョイ

リザード「だったらさっさとくたばんな!!」ブンッ

勇者「やなこった。俺は長生きしてえんだよ。それこそ100歳くらいまでな」ヒュン

魔法使い「・・・・・・だったら煙草やめればいいじゃないですか」

勇者「お、やっと喋るようになったか。おじさんは寂しかったぞ」

魔法使い「・・・ええ。珍しく勇者様が苦戦してるのに私だけ黙ってる訳にもいきませんしね」

勇者「そりゃありがてえな」

リザード「なんだ、お前も戦えたのか。だったらお前から始末してやるよ!!」ダッ

勇者「さっきみたいなヘマはすんなよ」

魔法使い「わかってますよ!! 魔物ならちゃんと戦えます‼︎」

68: 2020/07/22(水) 23:19:36.073 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「行きます!! 火術!!」

リザード「なっ!!」

ドーン!!

勇者「ひゅ~。なんだ。ちゃんと使えるじゃねえか」

魔法使い「最初からそう言ってるじゃないですか」

勇者「しかし煙で周りが見えねえな。どこ行きやがったあいつ。死んだか?」

魔法使い「まっ、ざっとこんなもんですよ」フンス

勇者「馬鹿、まだ油断してんじゃ」

リザード「ねえよってか!!」ダッ

魔法使い「あっ!!」

勇者「馬鹿!! だから!!」

リザード「死にな!!」ブンッ

魔法使い「きゃあああああああ!!」

69: 2020/07/22(水) 23:21:04.427 ID:dCCBkByma.net
これ中学生が書いてるのか?

70: 2020/07/22(水) 23:21:26.981 ID:LObC9Z6x0.net
ブシャッ

リザード「キャハハ!! これだよ、これ!! いい感触だぜ!!」

ビチャビチャ

リザード「どんな気分だ? あん? 斬られた気分はよ?」

魔法使い「あ、あ、あ、あ」ガタガタガタ

リザード「滅多にない経験だろ? それとも初体験か? キャハハハハ!!」

魔法使い「そ、そんなことって」

リザード「勇者様よ」ニヤッ

魔法使い「勇者様あああああああああああああああああああああああ!!」

勇者「ったく、最高に最悪な気分だぜ」ボタボタ

71: 2020/07/22(水) 23:21:52.599 ID:aZRw5Zsca.net
なろうっぽいよなぁ

73: 2020/07/22(水) 23:24:46.596 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「勇者様!! 血がこんなに!?」

勇者「うるさいうるさい黙れ黙れ。いいから黙って聞け。あいつを倒す方法が思いついた」ボタボタ

魔法使い「ほ、本当ですか!!」

勇者「ああ。だが思った以上に出血が酷いな・・・。おい、悪いが1つ頼みがある」ボタボタ

魔法使い「は、はい!」

勇者「止血するのにお前の下着を貸してくれねえか」ボタボタ

魔法使い「こ、こんな時に何を言ってんですか///」

勇者「こっちが出血大サービスしてんだぞ。お前も下着ぐらいよこせよ」

リザード「おいおい、そんなこと言ってる余裕あるのかよ」ニヤニヤ

魔法使い「そ、そうですよ!! 早く止血しないと!!」

74: 2020/07/22(水) 23:26:07.610 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「いいからさっさとケリを付けるぞ」チャキ

リザード「ほう・・・。随分小刀を隠し持ってたみたいだな。だがいくら本数があったって意味がないのはわかるよなあ?」

魔法使い「そうですよ!! あの皮膚の硬さじゃ・・・」

勇者「ドアホ。だーれがバカ正直に皮膚貫くつった」ボタボタ

リザード「あん?」

勇者「あんまり使いたくなかったんだがな・・・。仕方ねえ。これはなこうやって使うんだよ」チャキ

勇者「転移魔法」ヒュン

リザード「が、がああああああああああ!!」ブチブチブチ

75: 2020/07/22(水) 23:29:17.038 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「なっ!? 内側からナイフが!?」

勇者「おうおう、まるでハリネズミみたいになったな。いや、ハリトカゲか?」ボタボタ

リザード「き、貴様・・・」ボタボタ

勇者「おぉ、魔物の血ってのは緑色なのかよ。グロイな」ボタボタ

リザード「勇者あああああああああ!! ふざけるなあああああああああああ!!」ゴウッ!!

勇者「おいおい、ここは戦場だぜ? 油断する方が悪いんだよ、アホ」ボタボタ

リザード「許さん!! 絶対に貴様だけは許さん!!」ゴウッ!!

勇者「死ぬ奴に何言われたって怖くねえよ」ボタボタ

リザード「地獄の果までも追いかけてやるからなあああああああ!!」ゴウッ!!

勇者「追いかける必要はねえよ。地獄で待ってな」ボタボタ

魔法使い「勇者様!! とりあえずこれで止血してください!!」キュッ

勇者「おう、サンキュー」

勇者「・・・まっ、なんだ」

勇者「死神様のご加護がありますように」

76: 2020/07/22(水) 23:31:52.081 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「やりましたね!! 勇者様!!」

勇者「あぁ。死ぬかと思ったけどな。今日ほど防具の大切さを学んだ日はねえよ」

魔法使い「本当ですよ!! 煙草やお酒ばっかりじゃなくてちゃんと防具も買ってくださいね!!」

勇者「それはそれ。これはこれ」

魔法使い「・・・もうっ。とりあえずさっさと帰りましょう。国王様もマスターさんも待ってますよ!!」

勇者「ああ。じゃあ頼むわ」

魔法使い「え・・・。何言ってるんですか勇者様!! 勇者様も行くんですよ!!」

勇者「・・・もう限界」バタンッ

魔法使い「きゃ、キャアアアアアア!! 勇者様あああああ!!」

77: 2020/07/22(水) 23:34:31.069 ID:LObC9Z6x0.net
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勇者「えーでは、偉大なる勇者様の大活躍と今後の活躍を期待して・・・あ、あと税率さがっておめでとう。乾杯!!」

魔法使い「自分で言うんですか・・・。はい、乾杯」チンッ

マスター「やれやれ。死闘の末、命からがら帰ってきたと思ったら。まっ、約束だ。好きなだけ飲みな」

勇者「かー、三途の川から帰ってきた後の酒はうめえ!! 流石マスター、男だね。おかわり」

マスター「あいよ」

魔法使い「早いですね・・・」

勇者「そりゃ好きなだけ飲んでいいんだぞ? 飲まずにいれるかよ」シュボッ

魔法使い「体に響きますよ。あと煙草臭いです」

勇者「細かけえな、お前は。今日くらい許してくれよ」

魔法使い「いいですか。煙草は吸ってる人よりも副流煙の方が体に悪いんですよ?」

勇者「じゃあお前も直に吸えよ」

魔法使い「そういうことじゃないですよ!!」

78: 2020/07/22(水) 23:38:08.508 ID:LObC9Z6x0.net
マスター「で、あんたはいつこの街を出発するんだい?」

魔法使い「・・・あ」

勇者「怪我もしてることだし数日はここでゆっくりしてくよ」

魔法使い「・・・ホッ」

マスター「ああ、そうかい。だったらこの街を満喫してから行きな」

勇者「そうするよ。トカゲ野郎倒してなんぼか金も入ったから武器も買わなくちゃいけないしな」

魔法使い「あとしっかり防具も買うんですよ!!」

勇者「わかってるっての。流石に身にしみてわかったよ」

魔法使い「そりゃそうですよ。煙草やお酒ばっか買ってないでしっかり買うんですよ」

勇者「うるせえな。お前は俺の嫁かよ」

魔法使い「・・・う、自惚れないでください////  せいぜい飼い主ですよ‼︎」

勇者「血ぃ見たらペット放置して気絶する飼い主とか困るぜ」

魔法使い「いちいち一言余分につけないと気が済まない人ですね‼︎」

マスター「青春だね、全く」

79: 2020/07/22(水) 23:39:26.225 ID:LObC9Z6x0.net
翌日

勇者「あーだりー。防具おめー。気持ちわりー」フラフラ

勇者「こんなことなら防具なんて買うんじゃなかったぜ・・・」

勇者「でも痛いのは嫌だしなー」

勇者「・・・・・・」

クルッ

勇者(まっ、達者で暮らせや、マスター。そしてガキ)

80: 2020/07/22(水) 23:44:18.442 ID:LObC9Z6x0.net
クルッ

勇者「はー。行くか。次の街までなげえんだろうな」

勇者「・・・まあゆっくり行くか。小遣いでも稼ぎながら」

「ま、待ってくださ~い!!」タッタッタ

勇者「・・・・・・おいおい、嘘だろ?」

魔法使い「はぁ・・・はぁ・・・ふぅ。やっと追いつきました」

勇者「・・・・・・何してんだよクソガキ」

魔法使い「それはこっちのセリフですよ!! 何勝手に居なくなってるんですか!! カッコつけすぎですよ!!」

勇者「・・・あのなぁ。こっちは急いでるんだよ。お前に構ってる暇はねえんだよ」

魔法使い「私はガキらしく素直に生きることにしたんですよ!! 文句ありますか!!」

勇者「大ありだ。馬鹿。ってか城の件でわかったろ。俺が噂通りの悪人だってことがな」

魔法使い「笑わせないでください。それこそありえない話しですよ」

勇者「何言ってんだ、お前。見てなかったのかよ。俺は移動魔法さえ使えば殺す必要のなかった男を平然を殺したんだぞ」

魔法使い「私を甘く見ないでください。今度こそ完璧な推理を見せてあげますよ」

勇者「んなもん、聞く必要ねえよ。俺は急いでるんだよ。じゃあな」

魔法使い「そんなにいい人に見られたくないんですか?」

勇者「けっ、安い挑発だな。・・・いいぜ、そんなに自信があるなら言ってみろよ」

魔法使い「えぇ、任せて下さい」

82: 2020/07/22(水) 23:50:18.299 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「簡単な話ですよ。あなたの移動魔法には欠点があったんですよ。そう、移動魔法の範囲です」

勇者「それはお前も見てただろうが。俺自身、そして俺以外の物体全てを移動させれたじゃねえか」

魔法使い「見えすいてますよ。はっきり言ってあげましょうか。今回の話の肝は、『どこの物を移動できるか』ですよ」

勇者「・・・・・・」

魔法使い「おかしいと思ったんですよ。あんなに私を帰したがってたのに何故強制的に送り返さないのかったのかなって」

勇者「それはお前の意思を尊重したんだよ」

魔法使い「まだありますよ。リザードを倒したときの内部からのナイフ攻撃」

勇者「・・・・・・」

魔法使い「そして城へ侵入した時、私に触れたこと」

魔法使い「これらのことから推理すればもう解答は出てきますよ。あなたの魔法は・・・自分が触れている物しか移動できない。違いますか?」

勇者「・・・・・・」

84: 2020/07/22(水) 23:51:48.167 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「無言は肯定・・・ということでいいんですね?」

勇者「・・・はぁ。参った参った。まさかお前に見破られるとはな」

魔法使い「ふふふ、賢いですね、私。賢者にでも転職しましょうか」

勇者「自惚れんな馬鹿」

魔法使い「ひ、酷くないですか!!」

勇者「・・・あぁ、その通りだ。俺の移動魔法は俺が触ってるもんしかできねえよ」

魔法使い「・・・良かったです」

勇者「あん?」

魔法使い「私は勇者様が・・・噂通りの男じゃなくて安心しました」

勇者「・・・ちっ」

魔法使い「ですから安心して一緒に旅ができますね!!」

勇者「・・・・・・は?」

86: 2020/07/22(水) 23:54:40.182 ID:LObC9Z6x0.net
魔法使い「いえ、ですから」

勇者「あのなぁ。まずお前んちの両親はどう思うんだよ。旅になんか出させたくねえに決まってんだろ」

魔法使い「・・・・・・それは」

勇者「まあ、いい。そこは。だがな、火術しか使えないような使えない魔法使いを俺が連れて行くと思うか」

魔法使い「そ、それは今後成長していけば・・・」

勇者「馬鹿野郎。そんな悠長に構えてる暇なんかねえんだよ。欲しいのは即戦力だ。俺は教師みたいに長い目で人を見てる余裕なんてねえんだよ」

魔法使い「・・・・・・」

勇者「連れて行っても足でまといなんだよお前は。戦力になるつもりなら諦めな」

魔法使い「・・・・・・」グスッ

87: 2020/07/22(水) 23:57:21.533 ID:LObC9Z6x0.net
勇者「ちっ。泣くなっつうの。イライラする」

魔法使い「・・・すみません」

勇者「イライラすると煙草が吸いたくなるんだよ・・・って、あー。クッソ。ライターねえじゃねえかよ。これじゃ煙草が吸えねえじゃねえか」

魔法使い「・・・・・・え?」

勇者「ライター買おうにも色々買って金ねえし。畜生。ついてねえな」

勇者「・・・はぁ。煙草吸えねえなんて考えらんねえ。あーもー仕方ねえな。おい、こらクソガキ」

魔法使い「は、はいっ!!」

勇者「ライター買うまでは連れてってやる。その代わりライター買ったらさっさと帰れよ」

魔法使い「・・・素直じゃないですね」クスッ

勇者「あ? なんか言ったかコラ」

魔法使い「いいえ‼︎ よろしくお願いします!! 勇者様!!」

89: 2020/07/23(木) 00:01:10.092 ID:gWZmTs4q0.net

国王「して、側近よ。先日の件の被害者はどうなっておる?」

側近「はい。負傷者が111人。死者が・・・1名です」

国王「なるほど。ご苦労だった。下がれ」

秘書「はっ。失礼します」

ガチャ

国王「・・・死者は一人だけ・・・か」

国王「全く。あやつは立派な勇者じゃよ」

国王「見えてるもの、聞いたものが全てじゃない・・・か」

国王「まあなんにせよ」

国王「勇者に死神のご加護がありますように」

91: 2020/07/23(木) 00:02:48.917 ID:gWZmTs4q0.net
勇者「俺がなんで怒ってるかわかるか?」

魔法使い「・・・はい」

勇者「別に戦闘で役に立たないのはいい。もともと期待してなかったからな」

魔法使い「・・・はい」

勇者「夜中こっそり食べ物を食べているのも別にいい。育ち盛りだからな」

魔法使い「・・・はい」

勇者「わざわざテントを2個買ったのにいつの間にか俺の横で寝てるのもまあいい。俺は役得だからな」

魔法使い「・・・はい///」

勇者「だがな。なんで煙草をつけるのに業火術を使うんだよ!!」

魔法使い「ごめんなさいごめんなさい!!」

92: 2020/07/23(木) 00:06:34.499 ID:gWZmTs4q0.net
勇者「何? お前は俺を殺したいの? 殺すためについてきたの?」

魔法使い「ち、違います!! いや、だってあの時本気で来いって言ってたので・・・」

勇者「時と場合によるだろ!!」

魔法使い「そ、それにほら!! またあの技を使うときが来たときの為への練習ですよ!!」

勇者「煙草くらいゆっくり吸わせろ!! つかお前は火術以外の技を覚えろ!!」

魔法使い「た、煙草のことはす、すいません!!」

勇者「俺も煙草が吸えませんだよ!!」

魔法使い「ごめんなさいごめんなさい!!」

勇者「はぁ・・・こんなことなら前の街でお前が必死にライター買うのをやめるよう説得してきたのを振り切ってでも買うべきだった」

魔法使い「そ、それは駄目です!! 私の目が黒いうちはそんなこと許しません!!」

勇者「黙れ!! こっちは全身が真っ黒になりそうだよ!!」

魔法使い「あ、あはは・・・」

勇者「煙草をつける時は小火術でいいの!!」

魔法使い「でも小火術って消火術っぽくて火消えそうじゃないですか・・・」

勇者「それらお前の思い違い!!勘違い‼考え違い!!︎」

93: 2020/07/23(木) 00:09:29.753 ID:gWZmTs4q0.net
「やめるんだ!! 大人しくその娘を解放しろ!!」

魔法使い「あ、いえ、これはちょっとしたスキンシップといいますか」

戦士「くっ、既に手遅れだったか・・・」

魔法使い「い、いや、私は本当に」

勇者「ああ。夜な夜な寝ているこいつの体を自由に使ってたぜ」

魔法使い「なっ、なっ//// じゃ、じゃあ私は知らぬ間に・・・///」

戦士「この悪魔めが!!」

勇者「死神だよ」

戦士「どっちでもいい!! 成敗してくれる!!」チャキ

勇者「これはこれは、正義感のお強いことで」

魔法使い「子供ができてたらどうしましょう/// 名前は女の子だったら///」

勇者「お前はいつまで違う世界旅してんだよ」

94: 2020/07/23(木) 00:11:10.453 ID:gWZmTs4q0.net
戦士「覚悟しろ!! 不届きものめが!!」

勇者「おいおい、簡単に人に武器向けてんじゃねえよ」

戦士「婦女子に手を出す輩だから向けているのだ!!」

勇者「人に武器を向けてるってことはよ、殺す覚悟と死ぬ覚悟があるかって聞いてんだよ」

戦士「当たり前だ!! 困ってる人を見逃すくらいなら死んだほうがマシだ!!」

勇者「・・・ふんっ。いつまでそんなことが言えるかな」

戦士「覚悟など既にできている!!」

勇者「・・・そうかよ」

戦士「そっちから来ないならこちらから行くぞ!!」ダッ

勇者「ああ、来いよ。格の違いを見せてやる」

95: 2020/07/23(木) 00:12:23.106 ID:gWZmTs4q0.net
勇者「今回はお遊びなし。最初から飛ばすぜ」

戦士「なに?」

勇者「こっちからも行かせて貰うぞ」

戦士「来い!!」

勇者「そんじゃ遠慮なく」ヒュン

戦士「なっ!? 消えた!? い、一体どこへ!?」

勇者「後ろだ」チャキ

戦士「なっ!?」

勇者「さ、チェックメイトだ」

96: 2020/07/23(木) 00:15:05.231 ID:gWZmTs4q0.net
勇者「さて、問題です。今君の首に当たっているひんやりとした物はなーんだ?」

戦士「・・・刃物か」

勇者「残念だったな。お前の人生の旅路もここまでだ」

戦士「・・・殺すがいい」

勇者「何?」

戦士「だがあの娘にこれ以上酷いことはするな!!」

勇者「・・・・・・」

戦士「この私の人生に悔いはない。・・・いや、あの娘を救えなかったことだけは‼︎」

勇者「・・・・・・ああ、お望み通りくたばりな」ドスッ

戦士「ガハッ・・・!!」バタッ

勇者「クッソ。気に入らねえ・・・」

97: 2020/07/23(木) 00:16:00.467 ID:gWZmTs4q0.net
魔法使い「一姫二太郎がいいですかね/// でも勇者様が望むなら小隊を作れるくらいでも///」テレテレ

勇者「いい加減こっちに戻ってこい、オラッ」ゲシッ

魔法使い「あ、痛っ!! ちょっと何するんですか!! そ、それに、あ、あんなことして//// 責任は取ってくださいね///」

勇者「馬鹿かお前は。嘘に決まってんだろ」

魔法使い「・・・・・・そうですか」

勇者「何残念がってんだよ」

魔法使い「なななな何言ってるんですか//// そんな訳ないじゃなですか////」

勇者「お前が望むなら今からでもしてやろうか」

魔法使い「け、結構です!!////」

勇者「そうかよ、そりゃ残念だ」

魔法使い「・・・そ、そういうのは段階を踏んでからしっかりと///」ボソッ

勇者「なんか言ったか?」

魔法使い「なんでもないですよーだ///」

98: 2020/07/23(木) 00:19:09.784 ID:gWZmTs4q0.net
魔法使い「ところでさっきの方はどうしたんですか?」

勇者「あそこで伸びてるよ」

戦士「」

魔法使い「殺したんですか?」

勇者「ああ」

魔法使い「・・・嘘付き。わかってますよ」

勇者「チッ。だったら聞くなよ」サッ

魔法使い「いい加減素直になってくださいよ」

勇者「俺は世界一素直だっての。いいからさっさと火つけろ、ライター」

魔法使い「もうっ。私はガキでもライターでもなくちゃんとした名前があるんです!!」

勇者「おい、ガター」

魔法使い「変な略し方しないでください!!」

勇者「何も倒せねえところは一緒じゃねえか」

魔法使い「ちょっと上手いこと言わないでくださいよ!!」

勇者「いいからさっさと火つけてくれよ」

99: 2020/07/23(木) 00:21:18.347 ID:gWZmTs4q0.net
魔法使い「ところでこの人はどうするんですか?」

勇者「いい、ほっとけ。さっさと行くぞ」

魔法使い「でも可哀想ですよ!」

勇者「そんなに言うならお前一人でついてろ。俺は先に行くから」

魔法使い「で、でもそれだと煙草も吸えないですよ!? 大変じゃないですか!!」

戦士「う、う~ん」

勇者「馬鹿。お前のせいで起きちまったじゃねえか」ゲシッ

魔法使い「ご、ごめんなさい、いたっ、蹴らないでください!!」

101: 2020/07/23(木) 00:23:42.166 ID:gWZmTs4q0.net
_____
___
_

戦士「そうだったのか・・・本当にすまない。いや、謝っても許されることじゃないのはわかってる」

勇者「全くだ」

魔法使い「勇者様!!」

戦士「これは死んで詫びるしかない・・・」チャキ

魔法使い「な、何言ってるんですか!! そこまで必要ないですよ!!」

勇者「いいぞー死ね死ねー」

魔法使い「あなたは黙っててください!!」

戦士「ではっ」

魔法使い「ちょっと!! ストップ!! ストーップ!!」

102: 2020/07/23(木) 00:27:26.393 ID:gWZmTs4q0.net
魔法使い「はぁ・・・。危ないところでした」

戦士「済まない。助かった。だがこのままでは私の気が済まない。せめて何かお礼がしたい」

勇者「じゃあ金」

魔法使い「黙っててください。そんな。いいですよ。人相と性格が悪い勇者様が悪いんですよ」

勇者「黙れライター」

魔法使い「うるさいです!!」

戦士「・・・決めた!!」

魔法使い「え?」

戦士「私もあなた達について行く!!」

魔法使い「えぇ!?」

103: 2020/07/23(木) 00:28:40.704 ID:gWZmTs4q0.net
戦士「私も何か目的があって旅をしていたわけではない。だったら少しでも力になりたい」

魔法使い「そ、それは・・・」

魔法使い(うぅ・・・これじゃ折角の勇者様との二人旅が・・・)

魔法使い「ど、ど~します~? 勇者様~?」

勇者「ああ?」

魔法使い(あんだけ頑なに私を断っていた勇者様です)

魔法使い(そう簡単に仲間にはしないはず!!)

魔法使い(大丈夫!! 勇者様なら断るに決まってます!!)

勇者「ああ、うん。いいんじゃないか」

戦士「そうか。ではこれからよろしく頼む」

魔法使い「なんでですかああああああああ!?」

戦士「うおっ!?」

勇者「うるせえよ。新入りがびっくりしてるじゃねえか」

104: 2020/07/23(木) 00:29:36.153 ID:gWZmTs4q0.net
魔法使い「どうしてですか!? あんなに私の時は拒んでたのに!?」

勇者「まず経験が違う。ずっと一人旅してたんなら冒険の知恵もあるだろうしかなり役に立つ。それに比べてお前。ゼロ」

魔法使い「うっ」グサッ

勇者「そして能力だ。さっき戦った感じ腕もかなりのもんだ。戦闘でも期待できるだろう。それに比べてお前。ゴミ」

魔法使い「うぐっ」グサグサッ

勇者「最後に装備。装備が良いということは金も持っているだろうからな。それに比べてお前。穀潰し」

魔法使い「がはっ!!」グサグサグサッ

勇者「以上の理由より採用。文句あるか?」

魔法使い「う、ううぅ」

戦士「何か苦しんでるがいいのか・・・?」

勇者「ああ、いつも発作だ。気にするな」

戦士「そ、そうか・・・」

105: 2020/07/23(木) 00:31:23.347 ID:gWZmTs4q0.net
戦士「では改めてよろしく頼むぞ。勇者。魔法使いちゃん」

勇者「ああ。まあ適当に頼むわ」

魔法使い「うぅ・・・。よろしくお願いします」

戦士「ま、まあそう落ち込むな。元気を出せ」

魔法使い「・・・はい。ありがとうございます」

戦士「うむ。君は笑ってる方が可愛いんだから笑っている方がいい」

魔法使い「ああ、なんて優しい・・・。それに比べてこの人は・・・」ジトー

勇者「なんだよ、クソガキ。そんな目で見んな。じとっとして気持ちわりい。今にもカビそうだ」

魔法使い「もおおおおおおお!!」

戦士「ま、まあまあ。勇者も女の子にそんな酷いことを言うんでない」

勇者「るっせえな。いいからさっさと行くぞ」

魔法使い「・・・はい」

戦士「うむ。では行こうか!! 世界の平和のため‼︎ 魔王を倒しに行こう!!」

魔法使い「・・・なんか勇者様より勇者らしいですね」

勇者「ああ。今すぐ紋章あげたいくらいにな」

107: 2020/07/23(木) 00:36:54.988 ID:gWZmTs4q0.net
魔法使い(こうして3人の旅が始まりました)

魔法使い(勇者様の言う通り、戦士さんは冒険慣れしていて戦闘面でも、旅の面でも大活躍でした)

魔法使い(現在、私たち3人はテントを張って野宿しています)

_____
___
_

魔法使い(・・・・・・寝れない)

魔法使い(・・・私、やっぱり足でまといなんですかね)

魔法使い(・・・だったら居ない方がいいんでしょうか)クスン

戦士「・・・魔法使いちゃん。もう寝たか?」

魔法使い「・・・ふぇ?」

108: 2020/07/23(木) 00:39:00.579 ID:gWZmTs4q0.net
戦士「起こしてしまったなら申し訳ない」

魔法使い「あ、いえ。起きていたので大丈夫です」ゴシゴシ

戦士「悩み事か? 話して見たら少しは楽になるかもしれない」

魔法使い「戦士さん・・・。ありがとうございます」

戦士「なんのこれしき」

魔法使い「・・・あのですね・・・その・・・やっぱり私ってこのパーティにいらないんですかね」

戦士「・・・・・・」

魔法使い「私弱いですし、体力ないですし、料理できないですし・・・勇者様の言う通りですね」

魔法使い「足で纏いにしかならないですし私のせいで無駄にお金かかりますし・・・」

魔法使い「この装備も実はさっきの街で勇者様が買ってくださったんですよ。そんなボロい服着てたら俺まで弱く見えて恥ずかしいって言いながらですけどね」

魔法使い「きっとそのせいで煙草も買えなかったんだと思います。私の装備なんて買わなければライターなんて何本も買えたんですもんね」

魔法使い「ホント・・・私勇者様の邪魔しかしてないですね・・・これなら居ない方が・・・」

戦士「・・・そんなことないさ」

109: 2020/07/23(木) 00:41:05.788 ID:gWZmTs4q0.net
魔法使い「でもっ!!」

戦士「そんな居ても居なくても変わらない人だったら装備なんか与えないで見殺しにするはずさ」

魔法使い「それは・・・私が無理矢理ついてきたから・・・」

戦士「勇者も何か思うところがあって魔法使いちゃんを連れていってるんだろうさ。それが何かは本人しかわからないだろうけどね」

魔法使い「・・・戦士さん」

戦士「だから君は難しいことなんか考えなくていいのさ。勇者も素直じゃないんだろうからちゃんと言葉にはしないだろうけどね」

戦士「君は間違いなくここに居ていい。今日入ったばかりの私が言うのもおこがましい話だがね」

魔法使い「・・・ありがとうございます」

戦士「少しは役に立てたか?」

魔法使い「はい、本当にありがとうございます」

戦士「それは良かった」クスッ

ブブブ

戦士「・・・・・・敵か!?」ガバッ

110: 2020/07/23(木) 00:48:03.811 ID:gWZmTs4q0.net
魔王「…ふははは!! ついに来たか人間共!!」

魔法使い「っ!?」ゾクッ

戦士「うわぁ!やられた!っ」バシィ‼︎

魔法使い「せ、戦士さん‼︎」

勇者「……っち!どうやら寝ぼけてるうちに移動魔法を使って敵陣に乗り込んでたみたいだぜ」

魔王「よくぞここまで辿り着いた!! 褒めてつかわす!!」

魔法使い(な、なんて禍々しい妖気…。これが…魔王っ!?)

勇者「…だったら何か記念品でも贈呈してくれるのか?」

魔王「物よりもよっぽど素晴らしいものだ!! この我と話すことができたのだ!! 一生誇ってよいぞ!!」

勇者「そりゃどうも」

魔王「だが残念だったな…。誇れるのもあと数分だ…」

勇者「あぁ、だろうな。もうすぐお前が死ぬ。そうすれば何の価値もなくなるもんな」

魔王「……ふはははは!!」

勇者「ん? 何がおかしいんだ?」

魔王「…戯言を!! 力の差もわからぬとはな!!」

勇者「おいおい、そりゃこっちのセリフだ」

111: 2020/07/23(木) 00:52:56.480 ID:gWZmTs4q0.net
魔法使い「勇者様‼︎ 魔王と戦う前に勇者様が闇落ちした理由を聞いてもいいですか?」

勇者「今はいいだろ、そんなこと。魔王との闘いに集中しろ、気にすんな」

魔法使い「……だからこそですよ」

勇者「あん?」

魔法使い「だからこそ聞くなら今しかないかなって思ったんです…。このままだともう聞く機会も無い様な気がして…」

勇者「あのなぁ、忘れてるかもしれないけど俺は犯罪人なの。人沢山殺してんの。そんなやつの話聞いてどうすんの? 人殺しにでもなりたいのかよ?」

魔法使い「私は勇者様がそんな人には思えないんです!!」

勇者「お前が思おうが思うまいが事実は変わらねえんだよ。俺は人を殺した。大量にな。だから捕まった。これは変わらねえだろうが」

魔法使い「で、でも理由が!!」

勇者「ムカついたから殺した。以上」

魔法使い「勇者様!!」

勇者「……うるせえガキだな。何でそんなどうでもイイ事を知りたがるかな」

魔法使い「勇者様にとってはどうでもいいかもしれないですが、私にとっては大事なことなんです!!」

勇者「……はぁ。わかったわかった」

魔法使い「じゃ、じゃあ!!」

112: 2020/07/23(木) 00:54:13.533 ID:gWZmTs4q0.net
勇者「俺も甘くなっちまったもんだな。こんなガキの言うこと聞くなんて」

魔法使い「勇者様…!!」

勇者「……いや」

魔法使い「…? どうしました勇者様?」

勇者「……なんでもねえ。長くなるぞ、それでもいいのか」

魔法使い「はい!!」

勇者「はぁ…。面倒くせえな。んで、なんで俺があんなに殺したかか」

勇者「あぁ…どこから話せばいいんだろうな……」

勇者「……まぁいいか。全部話しちまうか」

魔王「…………」

魔法使い「…………」

勇者「そうだな。これはずっとずっと昔の話だ」

勇者「俺がお前よりもまだちいせえ頃の話だ」

113: 2020/07/23(木) 00:55:19.811 ID:9jQTK28y0.net
急に終わらせにきててワロタ

114: 2020/07/23(木) 00:55:57.280 ID:gbD6erhh0.net
全然追いついてないけど私怨

115: 2020/07/23(木) 01:02:46.666 ID:gWZmTs4q0.net
勇者「戦争孤児だった俺はとある軍隊の隊長に拾われたんだ」

勇者「そしてその隊長は俺の師匠として親として、俺に戦う術、生きる術を俺に教えてくれた」

魔法使い「つまり、私の推理によればその隊長さんが軍内部の誰かにハメられて殺された」

魔法使い「そして勇者様は激怒して軍内部の裏切り者を抹殺していった」

魔法使い「本来なら死刑になるところだったけど、王様の温情でなんとか死刑は逃れたってことですね」

魔法使い「そしてその罪が理由で死神として名を馳せたってことですね」

勇者「…………」

魔法使い「無言ってことはそれが答えってことですね?」

勇者「ったく、正解だよ。満点だよ。俺が教師なら花丸の100点をあげてるぜ」

116: 2020/07/23(木) 01:04:17.935 ID:gWZmTs4q0.net
勇者「わかったろ。俺はこんな最低な人間なんだよ。わかったらさっさと構えな」

魔法使い「……でも、勇者様は私たちを助けてくれたじゃないですか」

勇者「あん?」

魔法使い「……身を挺してまで私たちを助けてくれたじゃないですか」

勇者「……勘違いするな。俺は死ぬわけにはいかねえんだよ。何があってもな」

魔法使い「ですが…」

勇者「前に言ったろ? お前らは結局捨て駒だ。魔王戦の為に取っておいてるだけだ」

魔法使い「………」

勇者「魔王と戦うことになればお前らなんて簡単に切り捨てる。そう言ったろ」

魔法使い「……いえ、それは違います」

勇者「……あん?」

118: 2020/07/23(木) 01:07:37.457 ID:gWZmTs4q0.net
魔法使い「だったらわざわざ最後まで私を連れて行くわけがないんです。こんな足で纏い、壁にもならないじゃないですか」

勇者「だからずっと帰れって…」

魔法使い「ですが結局一度も帰すことはありませんでした。おかしくないですか?」

勇者「だったら今すぐにでも…」

魔法使い「…結局…師匠さんとの…勇者様のお母さんの教えを守ってるじゃないですか」

勇者「………」

魔法使い「どんなことをしてでもとは言いながら人は殺さない。勇者様のお母さんのように、困っている人が居れば助ける」

勇者「………」

魔法使い「しっかり守ってるじゃないですか…」

勇者「……ちくしょー。魔法使い、お前、名探偵にジョブチェンジしたほうがいいかもな」

魔法使い「その時は勇者様は私の助手になってくれますか?」

勇者「どっちかって言うと俺は犯人役の方が似合うと思うぜ」

魔法使い「…………そうですね」クスッ

119: 2020/07/23(木) 01:09:50.257 ID:gWZmTs4q0.net
魔王「そろそろいいか‼︎ 流石に待ちくたびれたぞ‼︎」

勇者「そのまま化石になるまで待っててくれやいいのによ」

魔王「身の程を知れ!! 貴様らなど我からすればスライムと変わらぬ!!」

勇者「まじか。最近のスライムは随分とお強いこった」

魔王「ほう…。我に喧嘩を売っておるのだな?」

勇者「当たり前だろうが。なんの為にはるばるここまで来たんだよ」

魔王「…良かろう!! ならばさっさと地獄へ送ってやる!!」

勇者「…やれやれ、気の短いこった。肉ばっか食わねえで魚食え、魚」

魔王「ここまで来たことを悔やむがいい!!」

勇者「…来るぞ、魔法使い」

魔法使い「っ!! はいっ!!」

魔王「ふははははははははははははは!!」

勇者「…さて。あんたが地獄に行った後、幸せに過ごせるよう願ってやるよ」

勇者「死神のご加護がありますようにってな!!」ダッ

120: 2020/07/23(木) 01:11:46.688 ID:gWZmTs4q0.net
魔王「来るがいい!! 勇者よ!!」

勇者「…言われなくもそのつもりだよ!!」

ヒュン

魔王「…なに!? どこだ!?」

ヒュン

勇者「どっち向いていやがる!!」

魔王「なっ!?」

魔法使い「う、後ろをとった!!」

勇者「先手必勝…ってな!!」

スンッ!!

魔王「…なんてな」ニヤリ

ヒュン

魔法使い「…えっ?」

勇者「…っ!? あぶねえ!! 避けろ!!」

魔法使い「ひ、ひぃっ!!」スンッ!!

121: 2020/07/23(木) 01:12:39.766 ID:gWZmTs4q0.net
勇者「大丈夫か、クソガキ!?」

魔法使い「は、はい、なんとか…。で、でもなんで勇者様が急に私の目の前に…」

魔王「くくく…」

勇者「…ちぃ!! やっぱりそうだったか!!」

魔法使い「え、え? 何がですか?」

勇者「…あいつも移動魔法を使えるんだよ」

魔王「ふははは!! その通りだ!! まぁ気付かれたところでなんてことはないがな!!」

魔法使い「えっ!? で、でも魔王は勇者様に触れていませんでしたよ!?」

勇者「あぁ。あいつは物に触れなくても発動できるんだろうよ」

魔法使い「そんなのってありですか!?」

勇者「実際そうなんだから仕方ねえだろうが」

魔法使い「そ、そんな…。は、反則すぎます…」

魔王「ふははははは!! だから言ったであろう!! 貴様らなどスライムと変わらんとな!!」

魔法使い「そ、そんな…」

123: 2020/07/23(木) 01:15:14.755 ID:gWZmTs4q0.net
勇者「……仕方ねえか。おい、魔法使い」

魔法使い「は、はいっ!! 何ですか!? 良い策でも思いついたんですか!?」

勇者「…あぁ、とっておきのな」

魔法使い「本当ですか!?」

勇者「…あぁ。必殺技を思いついたぜ」

魔王「……何?」

魔法使い「……勇者様?」

勇者「おい、魔法使い」ワシャワシャ

魔法使い「ど、どうしたんですか、勇者様? 急に頭を撫でたりして? く、くすぐったいですよ///」

124: 2020/07/23(木) 01:15:51.856 ID:gWZmTs4q0.net
勇者「…お前は俺を信じられるか?」

魔法使い「当たり前ですよ。今更何言ってるんですか?」

勇者「…お前は今まで楽しかったか?」

魔法使い「まぁ辛いこともたくさんありましたが…そうですね、楽しかったです!」

勇者「…お前はこれからも楽しく生きていけるか?」

魔法使い「当たり前ですよ! 戦士さんに、他にもマスターに村人さんとも楽しくやっていきたいです! もちろん、勇者様ともです!」

勇者「……そうか。良い仲間が沢山できたな」

魔法使い「はいっ!!」ニコッ

勇者「それじゃぁ…」

勇者「俺が居なくても大丈夫だな?」

魔法使い「……え?」

125: 2020/07/23(木) 01:16:55.436 ID:gWZmTs4q0.net
勇者「…ま、そんだけ仲間が居りゃ大丈夫だろ」

魔法使い「この手って……まさか!? 離してください!! 勇者様!!」

勇者「達者で暮らせよ」

魔法使い「やめてください!! 勇者様!! 離して!!」ブンブンッ

勇者「俺はお前のこと……いや、いいか」

魔法使い「勇者様!!」ブンブンッ

勇者「あばよ。魔法使い」

魔法使い「勇者様ああああああああぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁ!!」

ヒュン

126: 2020/07/23(木) 01:20:23.449 ID:gWZmTs4q0.net
_____
___
_

勇者「………」

魔王「ほう…。勝ち目がないと踏んで小娘一人逃がしたか」

勇者「…あぁ、そうだよ。俺はこのまま戦い続けるほど馬鹿じゃないんでな」

魔王「賢明な判断だな。だがいいのか? 貴様は逃げなくて」

勇者「自分を飛ばせるほど魔力も残ってないからな」

魔王「ふんっ、馬鹿な男だ。自分の身より大事なものなど存在するわけがなかろう」

勇者「…俺もそう思ってたんだけどな。どこで間違えたんだろうな」

魔王「ふんっ、愚かだな。あんな小娘一人の為に自らの命を犠牲にするとはな!!」

勇者「全くだ」

魔王「だがその勇気に称えて楽に殺してやる。光栄に思え!!」

勇者「……だけどよ、一人で死ぬのは寂しいからさ、ちょっと付き合えよ」

魔王「…………何?」

127: 2020/07/23(木) 01:22:43.946 ID:gWZmTs4q0.net
勇者「…なぁ」

魔王「…なんだ?」

勇者「太陽って知ってるか?」

魔王「…いつの間に背後に‼︎」

勇者「良いから答えろよ」

魔王「…当たり前だ。今丁度見えているだろうが」

勇者「なんで太陽が出ている時ってあんなに暑いんだろうな」

魔王「そんなもの太陽が熱を持っておるからであろう」

勇者「ってことはよ。ここまで熱が届くってことは本体は相当熱いんだろうな」

魔王「それがどうした…ってまさか!!」

勇者「あぁ、そのまさかだよ」

魔王「馬鹿か貴様!! それでは貴様も死ぬぞ!!」

勇者「…あぁ。だろうな」

魔王「ふざけるな!! 考え直せ!!」

勇者「…まぁいいじゃねえか」

勇者「一緒に宇宙旅行にでも行こうぜ」

魔王「やめろおおおおおおお!!」

ヒュン

129: 2020/07/23(木) 01:23:44.382 ID:gWZmTs4q0.net
ヒュン

勇者(…っ。息ができねえ)

ヒュン

勇者(くそっ、まるで海に潜ってる居る様だ…)

ヒュン

勇者(…考えるな。他のことを考えろ)

ヒュン

勇者(…あぁ、月ってこんな形をしてたんだな)

ヒュン

勇者(…地球は青かった)

ヒュン

勇者(…遠すぎる。全然近づけねえ)

ヒュン

魔王「やめろ!! 考え直せ!!」

130: 2020/07/23(木) 01:24:54.936 ID:gWZmTs4q0.net
ヒュン

勇者(ちっ…。なんであいつは普通に喋れるんだよ…)

ヒュン

勇者(くそ…意識が遠くなってきた…)

ヒュン

勇者(もう魔力も残りすくねえ…太陽まで着くのか…?)

ヒュン

勇者(…でももう少しだ)

ヒュン

勇者(…大分熱くなってきた)

ヒュン

勇者(…もうすぐ…もうすぐだ…)

ヒュン

勇者(…あと少しだ)

131: 2020/07/23(木) 01:26:18.277 ID:gWZmTs4q0.net
ヒュン

魔王「ちぃっ!! こうなったら太陽ごと移動させてやる!!」

勇者(っ!! ちぃっ!!)

ヒュン

グサッ

魔王「ぐあああああああああ!! 見えぬ!! 何も見えぬ!!」

ヒュン

勇者(…あぁ……もう…力が…出ねえ…)

魔王「熱い!! 熱い!!」

勇者(…だが…放っておいても…勝手に…近づいていくし…いいか)

魔王「暗い!! 熱い!!」

勇者(……あばよ…兵長…師匠…王様……戦士……魔法使い)

魔王「やめろ!! やめろおおおおおおぉおおおぉおおおおぉおぉぉぉぉ!!」

勇者(……今そっちにいくぜ……)

132: 2020/07/23(木) 01:26:47.652 ID:gWZmTs4q0.net
 

勇者「死神のご加護がありますように」

 

133: 2020/07/23(木) 01:29:40.757 ID:gWZmTs4q0.net
_____
___
_

魔法使い(あれから数カ月が経ちました)

魔法使い(ですが勇者様はまだ帰ってきていません)

魔法使い(あの後、王様は私たちに、)

王「何。奴のことだ。そのうちひょっこり顔を出すであろう。…儂はいつまでも待っておるよ」

魔法使い(そう言いました)

魔法使い(だから私は待ってみようと、勇者様を信じて待ってみようと思いました)

134: 2020/07/23(木) 01:31:08.081 ID:gWZmTs4q0.net
魔法使い(戦士さんは、)

戦士「勇者が平和にしてくれたこの世界を維持するためにも是非この国の軍に入隊させて欲しい」

魔法使い(そう言いました)

魔法使い(そして入隊してすぐに元帥の称号を与えられたそうです)

魔法使い(戦士さんは、『そんな恐れ多い!!』と最初は拒否していたらしいですが立派に仕事をこなしているそうです)

戦士「勇者が帰ってきた時がっかりさせないよう、しっかり国の平和を守るよ」

魔法使い(頬笑みながらそう言っていました)

135: 2020/07/23(木) 01:32:24.835 ID:gWZmTs4q0.net
魔法使い(私はと言うと、現在絶賛旅の途中です)

魔法使い(戦士さんには危ないからやめろと言われましたが)

王「よかろう。ではお主にこれを与えよう」

魔法使い(そう言い、500Gと銅の剣をくれました)

魔法使い「…私魔法使いなのですが」

王「王様ジョークじゃ」

魔法使い(その後倍以上のお金と、)

王「お主が持っている方が、奴も喜ぶであろう」

魔法使い(そういい勇者の紋章を私にくれました)

魔法使い(そして私は旅に出ました)

136: 2020/07/23(木) 01:33:11.163 ID:gWZmTs4q0.net
魔法使い(私はその後色んな街を回り、困っている人を助けました)

魔法使い(どんなことをしたかは割愛しますが私もやればできるんです!!)

魔法使い(もう守られるだけの役立たずなんかじゃないです!!)

魔法使い(…ですから安心してください、勇者様)

魔法使い(いつ戻ってきても大丈夫ですよ)

魔法使い(あっ、ただ約束を破ったことについては怒ります!! 許しません!!)

魔法使い(でも戻ってこない方がもっと怒ります!!)

魔法使い(ですから早く戻ってきてくださいね、勇者様)

魔法使い(…私はいつまでも待っていますから)

魔法使い(…勇者様が無事であることを願っていますよ)

魔法使い「死神のご加護がありますように」

138: 2020/07/23(木) 01:34:49.956 ID:gWZmTs4q0.net
_____
___
_

チャポン

「……はぁ、釣れねえな」

ゴロン

「…どうしたもんかねぇ。このままじゃ3日連続野菜生活だ。ベジタリアンかっつうの」

ザッ

「…やっと見つけました」

「………」

「……ここに居たんですね」

魔法使い「勇者様」

139: 2020/07/23(木) 01:35:43.281 ID:gWZmTs4q0.net
「……あん? 誰だ? 俺はあんたみたいな若いねえちゃん知らねえぞ?」

魔法使い「そりゃそうですよ。もうあれから5年も経っているんです。少しは成長しますよ」

「はて、なんのことだ? というか人違いじゃねえか?」

魔法使い「そんなはずはありません。私が見間違えるはずなんてありませんから」

「おいおい、こんな全身火傷まみれの奴とお前の探している奴を間違えるなんて、そいつに可哀想だぜ?」

魔法使い「気付いてもらえない私の方が可哀想ですよ」

「…やれやれ、話の聞かないお嬢さんだこった」

魔法使い「……どうしてずっと顔を見せてくれなかったんですか?」

「……こんな火傷まみれの奴の顔を誰が見たいって言うんだよ」

魔法使い「…私はずっと見たかったです」

「…そりゃ変った趣味をお持ちで」

魔法使い「……私…ずっと待ってたんですよ…」

「………悪かったな」

魔法使い「……本当に…本当に…馬鹿っ!!」ダッ

140: 2020/07/23(木) 01:36:31.597 ID:gWZmTs4q0.net
ギュッ

「……なんだ、殴らねえのか?」

魔法使い「…本当なら会って最初はビンタの1つでもしてやろうと思ってたんですけど…なんかもうどうでもよくなりました」

「……悪かったな、心配掛けて」

ギュッ

魔法使い「……勇者様。私、もう妊娠出来る歳になりましたよ」

「………そうか」

魔法使い「……この続きまで言わせる気ですか?」ジトー

「……いいのか? こんな火傷まみれの30過ぎのおっさんとでよ」

魔法使い「…えぇ。他に貰い手も居なさそうなので優しい私が貰ってあげますよ」

「……バーカ。俺が妥協してやってんだよ」

魔法使い「…それに私が居ればライターいらずですよ?」

「……もう炎は懲り懲りだよ」

チュッ

141: 2020/07/23(木) 01:37:24.724 ID:gWZmTs4q0.net
_____
___
_

魔法使い「……というように、私も色んな人を救ってきたんです!! もう役立たずなんかじゃないですよ!!」

「……そうかい。逆に俺が役立たずになっちまったようだな」

魔法使い「いいんですよ、心配しなくて。今までの分、私がしっかり守ってあげますよ!!」

「…そりゃ頼もしいこった」クスッ

魔法使い「もー!! 馬鹿にして!! …というか勇者様。魔王城で一体何があったんですか?」

「あぁ。ちょっと太陽までデートしてきた」

魔法使い「えぇっ!?」

「おう、聞けよ。なんと地球は青かったんだぜ」

魔法使い「そんなことはどうでもいいです!! だからそんなことに…」

「名誉ある負傷ってな」

魔法使い「…というか良くそれで無事でしたね。でもどうして助かったんですか…」

「…まぁ、そうだな」

「死神のご加護でもあったんじゃねえの?」

143: 2020/07/23(木) 01:38:27.066 ID:DY2FTx930.net
口数多かったり笑いながら人殺しするキャラってランスぐらいが丁度いいのよね
変に洒落た台詞よりガハハー死ねーで済ませるし

146: 2020/07/23(木) 01:48:50.193 ID:gWZmTs4q0.net
>>143
小粋なイカしたジョークを連発する絡みを書くのが好きなんですよ
センスは全然ないんですけどねw

144: 2020/07/23(木) 01:39:47.428 ID:gWZmTs4q0.net
これにてくぅ疲です!!

既に元ネタはバレてるみたいですが最近YouTubeに転載されてけっこう見てる人いたんでそれでリメイクディレクターズカット版を書こうとしたら途中で力尽きたわけですw

今度はなろうでじっくり書こうと思うんで是非よろしくお願いします
ありがとうございました

147: 2020/07/23(木) 01:50:12.227 ID:ukxS5wLS0.net
これガチでやってたのか

148: 2020/07/23(木) 01:51:32.743 ID:gWZmTs4q0.net
>>147
ガチと書いて本気です

149: 2020/07/23(木) 01:51:52.488 ID:tg1MechG0.net
死神のご加護がありますようにって読んだことあるな
盗賊のやつか、
勇者の育ての親が騎士団長かのやつ
再投稿?

150: 2020/07/23(木) 01:54:02.910 ID:gWZmTs4q0.net
>>149
はい、再投稿ですw
本当は深夜vipでやろうと思ったんですけどあまりに過疎りすぎてvipで書きました
そして途中で力尽きました

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