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坂本昌彦 「教えて!ドクター」の健康子育て塾
長野県佐久市では、定期的に小児科医が保育園を巡回し、保護者向けに小児医療の情報などを提供する出前講座を行っています。講座が終わった後に質問を受け付けているのですが、時々、お母さんからこっそり、こんな相談をされることがあります。
「小学校に通っている上の子のことなのですが、実は、夜尿(おねしょ)が治らないのです。どうすればいいのでしょうか」
私は、「今や夜尿は積極的に治療する時代なのですよ」とお伝えします。すると、多くのお母さんたちが驚かれます。
今回は、「夜尿」についてお話ししたいと思います。
1か月に1回以上の夜尿が3か月以上
イラスト:江村康子
夜尿とは、どんな症状のことを指すのでしょうか。
2016年に、日本夜尿症学会が「夜尿症診療ガイドライン2016」を作成しました。それによると、夜尿とは「5歳以上の小児に、睡眠中に起こる尿失禁で、1か月に1回以上の夜尿が3か月以上続くもの」とされています。
夜尿は冒頭に述べたように、子どもだけでなく、親の悩みでもあります。最近は、小中学校での宿泊行事が、以前より増えている自治体もあります。
修学旅行、林間学校、クラブ活動の宿泊、友人家族とのキャンプなどなど。行きたいのだけど、「おねしょしてしまったらどうしよう」「クラスメートに知られたら、いじめにつながらないだろうか」……。
気になると、晴れ晴れした気持ちでイベントに参加できないかもしれませんね。
「恥ずかしいこと」「隠しておきたいこと」と考えられがちな夜尿。なかなか他の人には相談できません。
「同級生の子たちはどうなんだろう」「いつになればよくなるのだろう」と、ひそかに悩んでいる親子は多いようです。だから、冒頭のエピソードのように、こっそり相談に来られるのです。
その一方、遺伝傾向があることから、夜尿の経験がある保護者が、「自分も治ったので、そのうち治るだろう」と、様子を見ているケースも多いようです。
低学年で10%、5年生でも5%
夜尿の有症率(症状のある子の割合)は、5~6歳時点で20%、小学校低学年で約10%。小学校5年生では5%くらい(クラスに2~4人)といわれています。小学校卒業時点でも約30~50人に1人(だいたいクラスに1人)はいます。